アルミニウム合金および銅において,変形組織中の転位セルがそのまま成長して再結晶粒になることをSEM-EBSD同一視野観察法で明らかにした.一方,圧延変形に伴う結晶回転の同一視野観察を行った結果,圧下率が80 %程度になると,一つの結晶粒中で方位が二つに分裂することが示された.焼鈍初期において,それぞれの方位を持つ転位セルがそのまま成長して再結晶粒になる結果,低角粒界の多い組織が形成される.この段階ですでに再結晶組織となっているにもかかわらず,圧延後の集合組織とほぼ同じ集合組織となるため,これまで気付かれなかった可能性がある.再結晶組織の形成は焼鈍の極く初期に終了している.
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