温度ストレス環境下における造礁性サンゴからの共生藻(褐虫藻)の放出現象を観察した。その結果,ストレスがかかっていない状態においてもサンゴは褐虫藻を放出していること,放出された褐虫藻の半分は消化されていることがわかった。ここに穏和な温度ストレスを与えると消化褐虫藻の放出割合が増加すると共に,その後,正常な形態ではあるが光合成系に著しくダメージを受けた褐虫藻が多く放出されるようになることもわかった。これは温度ダメージを受けた褐虫藻を速やかに除去するサンゴに備わった機構だと思われた。また,非ストレス状態では健常な褐虫藻も多く排出されており,これらは次なるサンゴへの共生ソースとなると思われた。
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