研究課題/領域番号 |
24570093
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉澤 和徳 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10322843)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / メキシコ / マレーシア / チャタテムシ / 系統進化 / 生物地理 / 分類 |
研究実績の概要 |
6月21日から7月5日までメキシコ(メキシコシティ,ケレタロ州,タマウリパス州,サンルイスポトシ州,イダルゴ州)で調査を行い,DNA 解析に必要なムツテンチャタテ属 Trichadnotecnum のサンプルを収集した.これらのサンプルの遺伝子解析を進めた. アジアのサンプルの分類学的検討を行った.マレーシア産ムツテンチャタテ属20種の分類学的再検討を行い,4新種,10新記録種を確認し,形態に基づきこれらの種群分けを行った.また,これまで Cryptopsocus 属として知られていたチャタテムシが,Trichadenotecnum 属のシノニムであることを明らかにするとともに,Cryptopsocus 属のタイプ種と近縁な3新種を記載した.この他,台湾,タイ,マレーシアサバ州のムツテンチャタテの分類学的再検討が進行中である. 旧世界のサンプルの遺伝子解析(核18S rDNA, Histone 3,ミトコンドリア 12S rDNA, 16S rDNA, COI 遺伝子)および系統解析(Trichadenotecnum 70種,外群26種)が完了し,論文を投稿準備中である.属の単系統性やこれまで認識されて来た種群のほとんどの単系統性が認められた一方,majus 種群では交尾器形態の収斂や逆転現象が頻繁に起こっており,これまでの形態に基づく種群分けが妥当ではなかったことが明らかとなった.この結果は現在論文を執筆中であり,早い時期に投稿する. メキシコのサンプルの解析を早急に進め,系統解析,分岐年代推定を行い,早急に研究を完成させる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
終了予定期間までに研究を完了することが出来なかった.その理由は以下の通り. (1)2回目のメキシコ調査が1年延期されたこと.これはすでに24年度の報告でその遅れを記載しており,その後の経過は順調に進んでいる. (2)DNA 用に保管されていなかった標本からの遺伝子増幅に手間取ったこと.これは論文の完成を結果的には遅らせたが,これは研究の遅延ではなく,むしろ当初予定外のサンプルを解析に加え,研究の完成度を高めるために必要な時間であったと判断している. いずれの問題もすでに解決しており,早急に論文を完成させる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,研究は完了段階に入っており,早急に解析を進め,論文執筆に移りたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
期間中,タイ,メキシコ産のムツテンチャタテ属の試料を海外の博物館から入手した.これらは研究遂行上非常に重要な資料ではあるが,標本の状態が悪く,通常の PCR での DNA 増幅は困難であり,その対策に時間をとった.微量増幅された DNA をクローニング増幅することで良好な結果が得られたが,問題解決に当初予定していたよりはるかに時間がかかり,年度内に実験を完了し,論文を投稿することが困難となった.
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次年度使用額の使用計画 |
新年度に入り,残っている実験を速やかに完了させる.クローニング,シーケンスに必要なキット,試薬,消耗品の購入費と,これらの実験に精通したポスドクの実験補助に対する謝金として使う. また論文の投稿先として,当初予定通りオープンアクセスジャーナルを考えている.論文出版費と英文校閲代が必要なため,これらの予算を次年度に確保しておく必要がある.
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