東南アジア産のムツテンチャタテ属の分類学的研究を行い,9新種を期間中に記載した.また中国から記載されていた Cryptopsocus 属をムツテンチャタテ属のシノニムとした. ムツテンチャタテの系統解析により形態に基づいて推定された種群のほぼ全てが分子系統でも単系統と認められること,その一方でごく一部の種群において,交尾器形態の収斂や逆転現象が生じており,これにより誤った種群分類がなされていることを確認した.分岐年代推定,生物地理学的解析により,第三期にベーリング陸橋を通じた大陸間の移動分散,および寒冷期の分布の縮小が現在のムツテンチャタテの分布形成に大きく関与したことが明らかとなった.
|