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2012 年度 実施状況報告書

細胞内膜系のNa+/H+交換輸送体による細胞内タンパク質輸送制御の機構

研究課題

研究課題/領域番号 24570155
研究機関中国学園大学

研究代表者

金澤 浩  中国学園大学, 現代生活学部, 教授 (50116448)

研究分担者 真鍋 芳江  中国学園大学, 現代生活学部, 准教授 (60331823)
三宅 教子  中国学園大学, 現代生活学部, 助教 (90563619)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード細胞内pH調節 / Na+/H+交換輸送体 / 小胞輸送 / 酵母のNa+/H+交換輸送体 / 細胞内局所pH制御 / イオン輸送 / 試験管内再構成 / フォスファチジルイノシトールリン酸
研究概要

細胞内のpHは、7.3の中性付近に保たれている。一方真核細胞内には多数の小胞が存在し、その内部のpHは弱酸性に保たれている。この細胞内膜系には、 いくつかの異なるNa+/H+交換輸送体NHEが存在し小胞内のpH制御に関与することが知られているが、その生理的役割には不明な点が多く残されている。われわれは本研究の前段階で、このNHEの一つである酵母のNhx1が、小胞の内部ではなく小胞の外側である細胞質に面する表面のpH制御に関与し、小胞表面に結合する因子の結合の制御に関わることを見いだした。特に小胞のもつ多重膜形成機構に関わり、機能の重要制御因子Vps27の小胞表面への結合に関わるとの発見をした(JBC(2011) Mitsui,K. Kanazawa, H. et al). この発見は極めて新規なものでありその生物学的は意義は大きい。
本研究では、この小胞表面での制御をさらに確立するために、試験管内での多重膜形成の初期過程の試験管内再構成系の開発と、試験管内でVps27の膜成分フォスファチジルイノシトールリン酸(PIP) への結合におけるpH制御機構の解明を目指した。
本年度は、酸性pH環境下でVps27タンパク質がPIPに結合することを解析するため人工膜系をもちいた結合実験系の構築を試み成功した。その結果、PIPと、酵母粗抽出液から部分生成したVps27との結合を表面プラズモン共鳴法による結合解析装置を用いて解析した。その結果酸性pHでPIPの存否によってVps27の脂質小胞への結合に差があること、さらに酸性側での結合の増加が確認できた。これまでVps27分子全体とPIPとの結合のpH依存性を調べた結果はなくNhx1による小胞表面酸性化の多重膜形成での重要性を支持する結果になった。またNhx1p の精製と再構成も検討を加え、人工脂質膜への組み込みと活性測定に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の成果は、当初予定した試験管内のVps27とPIPの結合実験系の構築と測定に成功した点であり、研究の進展があったといえる。また、この成果は、日本生化学会の2012年度の年会およびスペインで催された酵母の膜輸送に関する国際シンポジューム(SMYTE30)で発表することができた。それらの場では、これらの成果は高く評価された。実際、ベルギーとスペインの酵母の輸送研究2グループから共同研究を申し込まれ、ベルギーのグループと新規共同研究をスタートできた。これらの成果をえるため、国外旅費を含めて研究費の多くが支出された。また、本研究の前段階からの共同研究者である元阪大理学部助教(現パナソニックヘルスケア社研究員)三井慶治博士の共同研究のための招聘の費用に多くが当てられた。研究室を、代表者の本補助金申請時に所属した大阪大理学研究科から現在の岡山の大学(中国学園大)へ移動したため、研究室のセットアップを新規に行わなければならなかった。これに時間をかなり要した。この点で研究の進捗、成果は予想したもの以上とはいえないものとなった。研究に必要な消耗品には、本年度に限ってはこれまでの研究代表者の既存資産を多くあてることができたため、支出はほとんどされなかった。なお本研究の2名の研究協力者への費用配分予定が当初あったが、同じ研究室内であり、配分は行われなかった。

今後の研究の推進方策

当初計画しているほ乳緩細胞の小胞に存在するNHE6に注目し、この分子も酵母の Nhx1と同様に小胞表面での細胞生理学的役割を果たしているのか、解析する。この小胞は、酵母とは異なり後期エンドソームではなく、初期エンドソームに局在する。われわれはエンドサイトーシスの仕組みの中でNHE6は形質膜の陥入、特にクラスリンの呼び込みに関わるものと報告している。また、神経細胞分化モデルとなるPC12細胞においてNHE6はNGF 受容体の陥入やシグナル伝達などのエンドサイトーシスおよび情報伝達経路に関わるのではないかと考えており研究を展開する。酵母の系も試験管内の再構成系において、Nhxを組み込んだ系でのVps27の人工小胞への結合制御を解析したい。

次年度の研究費の使用計画

実験に必要な消耗品を50万円程度、旅費を50万円程度、実験機器として50万円程度を想定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Anovel implication of the physiological importance of local protons at the membrane surface off organlellar vesicles in eukaryote cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Kanazawa, H. and Mitsui, K.
    • 雑誌名

      Chygokugakuen Journal

      巻: 12 ページ: 1-6

    • 査読あり
  • [学会発表] MVB形成に関わるESCRT-0複合体におけるエンドソーム膜結合のpH依存性2012

    • 著者名/発表者名
      三井慶治、泉田響、松下昌史、金澤浩
    • 学会等名
      日本生化学会第85回年会
    • 発表場所
      マリンメッセ福岡
    • 年月日
      20121212-20121213
  • [学会発表] Organellar type Na+/H+ antiporter Nhx of yeast plays an important role in multivesicular body formation2012

    • 著者名/発表者名
      Kanazawa, H., Mitsui,K., Koshimura, Y., Yoshikawa, Y., and Matsushita, M.
    • 学会等名
      30th small meeting on yeast transport and energetics
    • 発表場所
      Salamanca, Spain
    • 年月日
      20120709-20120712

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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