切り枝およびポットに植栽された苗木を用いて、樹液の二酸化炭素濃度を変化させ、大気環境制御下での葉の光合成速度および樹皮呼吸速度の変化を測定した。光合成速度の測定には二酸化炭素吸収量の変化を測定する携帯用光合成・蒸散測定装置(LI-6400)を用いる他、クロロフィル蛍光測定による電子伝達系の測定を併せて行った。樹液の二酸化炭素濃度を増加させる方法として、溶液中の二酸化炭素を増加させる方法と、樹皮からの二酸化炭素放出を抑制することによる方法を用いた。切り枝を用いた実験では、溶液二酸化炭素の制御が難しく、またこれによる切り枝への影響を排除することができなかったため、ポット苗を用いた実験に変更した。一部の実験においては、樹液内二酸化炭素濃度の増加により上部樹皮において二酸化炭素放出の増加が見られたが、葉における光合成速度に顕著な変化は確認されなかった。 外気二酸化炭素濃度の変化に対する樹皮呼吸速度の関係を測定した。樹皮からの二酸化炭素放出は外気二酸化炭素濃度に依存しており、高二酸化炭素濃度では樹皮表面からの二酸化炭素放出は抑制される。樹皮表面の形態および構造は種によって異なり、樹皮表面における二酸化炭素の拡散コンダクタンスは、種や構造の違いに影響を受けることが示唆された。
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