研究概要 |
高木(カラマツ)を対象に、高さ別で樹皮表面からの二酸化炭素放出速度(幹呼吸速度)の測定を行った。樹皮表面に塩ビ管を用いてチャンバーを取付け、非拡散型赤外線ガス分析計(NDIR, GMP343, VAISALA社製)を使用した閉鎖型システムで測定を行った。単位面積当たりの呼吸速度は、樹体上部では下部と比較して高く、樹液流の有無による昼夜での呼吸速度を比較すると、下部では昼間の呼吸速度が増加、上部では昼間の呼吸速度が低下する現象が確認された。樹体温度など詳細なデータが得られていないが、樹液流による 二酸化炭素輸送が呼吸速度に影響を与えていること、樹体下部と上部でその影響が異なることが示唆された。 暖温帯から温帯に生育する37樹種を対象に幹呼吸特性の測定を行った。樹皮表面に塩ビ管を用いてチャンバーを取付け、赤外線ガス分析計(IRGA, LI-820, LICOR社製)を使用した閉鎖型システムで測定を行った。測定期間は2013年8月~10月で、樹液が流れていないと思われる夜間(21:00~4:00)に測定を行った。種ごとに、皮目の大きさ、溝(裂け目)の大きさ、溝の多少、樹皮のはがれやすさから、樹皮の形態(凹凸)を4段階に区分した。また、呼吸速度のほか、外気二酸化炭素濃度と呼吸速度の関係から、CO2 コンダクタンスを求めた。呼吸速度は、0.9~9.4 micromol m-2 s-1に分布し種間で有意な差が確認されたが、樹皮形態との間に有意な相関は見られなかった。CO2 コンダクタンスは 、0.4~12.6 mmol m-2 s-1に分布し、平滑な樹皮よりも凹凸のある樹皮で高くなる傾向を示した。
|