研究課題/領域番号 |
24580341
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
金岡 正樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター水田作研究領域, 上席研究員 (50355260)
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研究分担者 |
島 義史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター水田作研究領域, 主任研究員 (10414781)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 農業経営 |
研究概要 |
北海道の農業労働力需要は増加傾向にある。農業センサスによる農業雇用の動向は、2005年から急増し、2010年には常雇を雇う経営は経営体の1割、実人数で3倍、1戸当たり実人数も1.5倍の3.8人、臨時雇利用は経営体の半数におよび、延べ人日で1.7倍、1戸当たり1.3倍の137人と増加している。調査事例では、大規模水田作法人経営では、通年雇用する従業員、期間従業員は直接経営で雇用し、農繁期のみのスポット雇用は派遣社員を利用している。集約作も導入する大規模水田作家族経営では、通年ではないが雇用期間の長い集約作部門に経験のある派遣労働者を毎年雇用している。派遣社員を雇用する時間当たり費用は直接雇用に比べて3割以上高いが、労働者募集、冬期間を含む雇用調整、事務等のコストを考えて利用されている。 派遣事業者は、専業、地元建設業者が作業受託で兼業しているものがある。農業を含む派遣社員は全道で4.5千人、平均年齢44歳、勤続年数6年、所定内給与17万円/月である。農業関係の派遣社員は、離農者や農家が生家である高齢な農業経験者が多いが、最近では若齢の未経験者も増えている。雇用する農業経営では、これまでの雇用労働者に比べて、農作業スキルが低く指導が必要な者も増え、短期的雇用では相対的に効率が低下している。一方、集約作を導入し雇用期間が長く毎年依頼する経営に対しては、経験者を継続的に派遣するようにされている。人材育成を謳っている派遣事業者もあるが、特定の農場で3年間かけ派遣による農業技術習得が中心で、農場の中間管理者、農業経営者のスキル形成についてまでは実施されていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域労働市場の概況把握、人材派遣による農業支援とキャリア形成については、研究計画に従い、統計分析と事例調査を実施した。大規模家族経営の展開と雇用労働力需要と人材育成のうち労務管理領域の成果については、25年度以降に想定していた学会シンポジウムでの報告と学会誌投稿論文が受理され、計画以上の進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、人材派遣による農業支援のキャリア形成、就業条件の改善ポイント解明に向けて、先進地域及び経営を対象にして研究を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画に従い、先進地域及び経営を対象にした調査旅費、収集資料・データの整理分析の研究補助者人件費を使用する。また、24年度冬期の悪天候により調査日程調整が不調で実施できなかった調査、研究補助者の退職により未整理のデータ解析については、所要額が未使用となった。この予算については、25年度に調査を追加実施するとともに、研究補助者の頭数を増やして執行する。
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