研究課題/領域番号 |
24580461
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岩田 祐之 山口大学, 獣医学部, 教授 (40193750)
|
研究分担者 |
渡邊 理恵 山口大学, 獣医学部, 准教授 (50435715)
前田 健 山口大学, 獣医学部, 教授 (90284273)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 急性期糖蛋白 / α1酸性糖蛋白 / モノクローナル抗体 / 糖鎖修飾 |
研究概要 |
難治性病態における急性期蛋白糖鎖修飾モデルのトランスレーショナル研究を目的に,動物α1酸性糖蛋白(AGP)について,本年度は,(1)動物AGPの分離精製:cDNAのクローニングと組換え蛋白発現,(2)動物AGPに対するモノクローナル抗体の作製,(3)動物AGPに対するモノクローナル抗体のエピトープ解析について検討した. (1)動物AGPの分離精製:ウシAGP(血清)およびネコAGP(腹水)についてイオン交換クロマトグラフィーを主に分離精製した.ウシ,ネコおよびマウスのシグナル配列を除いたcDNAをクローニングし,大腸菌による組換え蛋白を発現した.また,マウスAGPについては哺乳動物細胞による組換え蛋白発現を行った. (2)動物AGPに対するモノクローナル抗体の作製:常法によりモノクローナル抗体の作製を試みた.ウシについては8種のモノクローナル抗体が得られており,血清AGPに対して4種(マウス2種,ラット2種),大腸菌発現AGPに対して4種(ラット)が得られている.ネコについては腹水より精製したAGPに対して6種のマウスモノクローナル抗体が得られており,マウスについては4腫のモノクローナル抗体が得られた. (3)動物AGPに対するモノクローナル抗体のエピトープ解析 マウスAGPに対して得られた4種のモノクローナル抗体は全て大腸菌組換え蛋白を認識したが、哺乳動物細胞組換え蛋白に対しては3クローンが認識し、2種類以上のエピトープを認識する可能性が示唆された.また、ウシおよびネコでも異なるエピトープを認識する可能性が示唆されている.ネコでは血清AGPに対するモノクローナル抗体は合成cDNAで作製した組換え蛋白を認識したことから、標準品となるネコAGPを組換え発現できる可能性が示された。その他難治性疾患(リーシュマニア症、猫伝染性腹膜炎など)の疫学病態に関する知見も得られている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AGP の分離精製とモノクローナル抗体の作出については、ウシおよびネコAGP精製とモノクローナル抗体の作製、マウスα1酸性糖蛋白のcDNAクローニング、組換え蛋白発現(大腸菌、哺乳動物細胞)、モノクローナル抗体の作製は順調に進んでおり、モノクローナル抗体の抗原特異性・認識エピトープについて現在検討中である。しかしながら、当初導入予定であったキャピラリー電気泳動装置の製造元での改良のため、平成24年度納入が大幅に遅延した。平成25年度で本装置を用いた解析法を検討する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度研究計画は25年度も継続することとなっており、特に糖鎖構造解析を中心に実施する.25年度は応用的事項を中心に検討することとしており、平行して研究を進めることは可能である。以下の事項を合わせて実施するとともに、臨床的事項とくに難治性病態における血清AGP濃度と糖鎖変動について26年度に向けて継続的に実施する;(1) 糖鎖修飾AGPの機能解析、(2) AGPの糖鎖修飾酵素の解析、(3) 難治性病態における血清AGP濃度と糖鎖変動。 (2) 糖鎖構造解析の確立(岩田):糖鎖構造解析には,主としてレクチン親和性を応用したキャピラリー電気泳動 法を用いる.本法に加えて,lectin ELISA 法,二次元電気泳動法(等電点分画法,SDS-PAGE)よる検出法,お よび (1)で作製した糖鎖認識モノクローナル抗体を応用した方法(Western blotting 法など)を試みる.以上 の方法を単独あるいは組み合わせて糖鎖構造解析法を確立する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度のキャピラリー電気泳動装置の導入が遅れ(機種の更新)、これを用いた実験が平成24年度中に行うことができなかったため、平成25年度にこの基礎実験を行うとともに、その応用を試みる予定であり、平成25年度分へ繰り越した経費を充当する。研究内容としては、次のとおりである。 (1)糖鎖構造解析の確立: 糖鎖構造解析には,主としてレクチン親和性を応用したキャピラリー電気泳動 法を用いる.本法に加えて,lectin ELISA 法,二次元電気泳動法(等電点分画法,SDS-PAGE)よる検出法,お よび 糖鎖認識モノクローナル抗体を応用した方法(Western blotting 法など)を試みる.以上 の方法を単独あるいは組み合わせて糖鎖構造解析法を確立する.
|