研究課題
基盤研究(C)
1.コンドロイチン4硫酸を二酸化チタン存在下370 nm~430 nmの高圧水銀ランプにより光分解し、2糖~30糖(分子量360~8000)のオリゴ糖を含む画分の調製に成功した。オリゴ糖は、これまで報告されている分解酵素を用いた方法と異なり、非還元末端に不飽和二糖などを含まない、偶数のオリゴ糖糖、すなわち2、4、6、8、10・・・糖ではなく、多糖を構成する単糖のグリコシド結合を区別することなく切断するため、偶数のみならず奇数の構成糖からなる、これまで前例のない新規のコンドロイチン硫酸由来オリゴ糖である。これらの画分を分取用および分析用HPLCおよび核磁気共鳴装置・質量分析装置、質量分析測定装置によりその構造解析を行った結果、硫酸化度およびコア構造にダメージを受けていないことが明らかになった。2.単離・精製したコンドロイチン硫酸オリゴ糖を、三酸化イオウ・ピリジン錯体により反応温度40℃で完全硫酸化体とすることに成功した。さらにシリル化試薬N,Oビストリメチルシリルフルオロ酢酸により、中性糖、アミノ糖6位の硫酸基を特異的に脱離、あるいは10%メタノールを含むジメチルスルホキシド中80℃24時間反応し、完全に硫酸基を脱離したコンドロイチンオリゴ糖の調製に成功するなど、硫酸化度の異なるオリゴ糖ライブラリーを構築することに成功した。3.未分画のサメ軟骨由来コンドロイチン硫酸をマウスに400 mg/kg体重経口投与すると、血液中に投与量の1%程度のコンドロイチン硫酸が検出されることを突き止めた。また低分子化コンドロイチン硫酸(分子量5000)を400 mg/kg体重の割合でマウスに経口投与すると、投与量の5%が吸収されることを確認した。これらの知見を踏まえ、吸収されたコンドロイチン硫酸の分子量および硫酸化度などの酸性度の関係を調査している。
2: おおむね順調に進展している
当初計画したコンドロイチン硫酸の光分解による低分子化条件を精査し、思い通りの分子量を有するコンドロイチン硫酸の調製に成功した。また調製したコンドロイチン硫酸は光分解により低分子化以外、ほどんどダメージを受けていたいことが明らかになった。また経口投与したコンドロイチン硫酸がこれまでの予想に反し、1%程度も吸収されることが明らかとなり、大変驚いている。
当初の計画通り、経口吸収されたコンドロイチン硫酸の生体内分布を徹底的に調査し、分子量分布、硫酸化度など構造変化についても調査していく。また経口吸収されたコンドロイチン硫酸の免疫系賦活活性についても調査を進めていきたい。
動物実験およびコンドロイチン硫酸お分析に使用する有機溶媒、有機試薬、HPLCカラムの購入に使用する予定である。
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