研究課題/領域番号 |
24590170
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
金森 美江子 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (80356203)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 化学剤 / 加熱脱着GC/MS / 捕集吸着 |
研究概要 |
化学剤標品として、当研究所にて合成した神経ガス(サリン、ソマン、タブン、VX)ならびにマスタードガスを使用した。化学剤の捕集条件として、100mL/minの吸引速度で10分吸引した後、加熱脱着GC/MSを用いて分析することを想定した。対象となる市販のh集剤として、ポリマー系のTenax TAならびにTenax GR及びカーボンモレキュラーシーブ系のCarboxen 1016を使用し、内径3mmのガラスチューブに捕集剤単品100mgを充填した捕集チューブを作製して、GCインジェクタと質量分析計に接続し、温度を変えた場合の各化学剤の保持時間などから、室温における各化学剤の破過容量の算出した。 Tenax TAの場合、サリンの破過容量が低かったものの、サリン以外の化学剤の破過容量は、想定捕集条件を十分満たしていた。Tenax GRの場合、マスタードガスは問題なく検出されたが、神経ガスは繰り返し使用するにつれて吸着力が弱まった。Carboxen 1016 の場合も同様に、サリンについては繰り返し使用により保持時間が早まる傾向が認められ、また、高沸点化合物の保持が強力であり、VXやタブン、マスタードガスは 300℃においても捕集剤から脱着されなかった。 以上の結果から、Tenax TAのみ、あるいはTenax TAとCarboxen 1016とのマルチベッド型のいずれかが化学剤の捕集吸着剤として適しているのではないかと判断された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
妊娠・出産に伴う産前産後・育児休暇を取得したため。
|
今後の研究の推進方策 |
各捕集剤での化学剤の破過容量を再測定し、使用した捕集吸着剤の再現性を確認する。最適化した捕集吸着剤を用い、加熱脱着GC/MS条件を検討・最適化する。各化学剤を捕集したチューブを密栓し、外気湿度や温度の異なる様々な条件に一定期間放置した後、確立した分析法を行い、吸着直後の分析を100%とした場合の、各化学剤の回収率を求め、吸着剤中での化学剤自身の安定性や吸着度合いに関して詳細に検討を行う。算出した破過容量や試料負荷容量の結果と合わせ、最適な吸着剤種及び容量を決定する。 大型容器中に、化学剤を気化させた試料を調製する。はじめに、窒素ガスを用いて化学剤含有ガス試料を調製し、捕集チューブに捕集・吸着後、GC/MSによる分析を行い、これまでの結果との比較検討を行う。次に、乾燥空気ガスを大気と想定し、一定濃度になるように化学剤含有ガス試料を調製した場合の検出限界及び定量性についても検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
加熱脱着GC/MS用消耗品(捕集チューブ、捕集剤、カラムなど)、ガス接続用配管などを購入する。学会発表用の旅費。
|