研究課題/領域番号 |
24590186
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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研究分担者 |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (80422749)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ガバペンチン / 薬物間相互作用 / 神経障害性疼痛 / 薬物動態 / 制酸剤 |
研究概要 |
本研究では、ガバペンチンと制酸剤との薬物間相互作用とその機序を明らかにするために、制酸剤併用時におけるガバペンチンの血中動態、腸管吸収および尿中排泄について評価した。健常成人13名を対象としたオープンラベル、3相、ランダム化クロスオーバー試験を実施した。試験については、12時間の絶食後にガバペンチンとともに、非併用群または酸化マグネシウム併用群、オメプラゾール併用群の単回経口投与を行った。酸化マグネシウム併用群において、ガバペンチンの最高血中濃度および血中濃度時間曲線下面積は非併用群と比較して、それぞれ、有意に低下した。さらに、酸化マグネシウム併用により、ガバペンチンの経口バイオアベイラビリティは非併用群に比べ有意に低下した。酸化マグネシウム併用群とオメプラゾール併用群間での比較でも、酸化マグネシウム併用はガバペンチンの最高血中濃度および血中濃度時間曲線下面積および経口バイオアベイラビリティを有意に低下させた。一方、非併用群とオメプラゾール併用群間では、ガバペンチンの血中動態パラメータおよび経口バイオアベイラビリティに差は認められなかった。ガバペンチンの尿中排泄については、各群間において制酸剤併用による腎クリアランスへの影響は認められなかった。本試験より、酸化マグネシウムの併用により生じる血中ガバペンチン濃度の低下が、ガバペンチンの経口バイオアベイラビリティの低下に起因することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、神経障害性疼痛に着目して、ガバペンチン服用患者における薬物動態の評価法を確立し、その変動要因のひとつとして、消化管内での制酸剤との相互作用が明らかになった。一方、ガバペンチンの血中動態の影響因子については、単一の薬物輸送担体(OCTN1、OCT2)の遺伝子変異では説明できなかった。以上の研究成果から、おおむね順調に研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度については、オピオイドへのステップアップに用いるトラマドールに着目して、がん患者におけるトラマドールの鎮痛作用および有害作用に及ぼす影響因子について、オピオイドμ1受容体と相互作用を有するドパミンD2受容体の遺伝子変異に着目して評価を行う。多変量解析により、トラマドールとその代謝物および性別、オピオイドμ1受容体およびドパミンD2受容体の遺伝子変異を用いて、トラマドールの鎮痛作用および有害作用の影響因子について明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費については、主に消耗品、情報収集や成果発表のための学会参加、臨床検査項目の外部検査機関への委託費用および学内共同機器の使用料に対して、研究費を使用する。具体的な使途を下記に示す。 消耗品費:試薬、HPLC関連器具、プラスチック器具および遺伝子解析関連試薬を購入する。 旅費:日本臨床薬理学会年会および日本医療薬学会年会に参加し、研究資料を収集する。また、国際学会に成果を発表する。 外部検査機関委託:プロラクチンおよび診療未検査項目測定 学内共同機器の使用料: LC-MS/MS、DNAシークエンサ等の使用料
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