研究課題/領域番号 |
24590186
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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研究分担者 |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (80422749)
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キーワード | トラマドール / 薬物動態 / オピオイド / 有害作用 / 代謝物 / 遺伝子変異 / がん性疼痛 |
研究概要 |
臨床試験の倫理審査申請とトラマドールとその代謝物(O-脱メチル体、N-脱メチル体、N,O-脱メチル体)の血中濃度測定法の構築、患者登録および患者情報の収集を開始した。臨床試験については、当施設の医学研究倫理審査およびヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査の承認を受けた。トラマドールとその代謝物の血中濃度測定については、米国食品医薬品局の生体試料分析のガイダンスに準拠したLC-MS/MS法による同時測定法を確立し、がん患者への適用性について、現在、検証している。トラマドールとその代謝物の薬物動態解析とともに、切り替え対象のオキシコドンの血中濃度測定、薬物代謝酵素およびオピオイド受容体の遺伝子解析、有害作用の判定とそのグレード分類および併用するプロクロルペラジンによるプロラクチン分泌への影響に関して、目標症例数に到達するまで患者登録を継続する。患者情報の収集については、診療録や疼痛管理記録から情報を抽出し、疼痛管理状況と有害作用発現状況についてのデータベースの作成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
到達目標であるトラマドールの臨床試験の倫理審査承認、トラマドールとその代謝物の血中濃度測定法の構築、患者登録、および患者情報の収集を開始できているため、おおむね予定としていた課題は実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
トラマドールとその代謝物の血中濃度測定法について、FDAのガイダンスに準拠したバリデーションを実施する。平成25年度からの患者登録を継続し、目標症例に到達させる。がん患者におけるトラマドールの鎮痛作用および有害作用に及ぼす影響因子について、CYP2D6、CPY3A5の遺伝子変異、オピオイドμ1受容体(OPRM1)と相互作用を有するドパミンD2受容体(DRD2)の遺伝子変異に着目して評価を行う。多変量解析により、トラマドールとその代謝物および性別、CYP2D6、CPY3A5、OPRM1およびDRD2の遺伝子変異を用いて、トラマドールの鎮痛作用および有害作用の影響因子について明らかにする。トラマドールからオキシコドンへのステップアップについて、患者情報および遺伝情報に基づく投与量換算率の推定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
トラマドールとその代謝物の血中濃度測定法の構築については、測定条件の最適化に時間がかかり、消耗物品の購入予定費用として、次年度使用額が生じた。さらに、LC-MS/MSに関して、講座への導入が実現したため、共同機器の使用料の負担が減額になったため。また、臨床検査の測定に関して、一部の項目に関して、自施設での測定が可能になったため。 消耗品および臨床検査項目の外部検査機関への委託費用に対して、研究費を使用する。具体的な使途を下記に示す。 消耗品費として、試薬、HPLC関連器具、プラスチック器具および遺伝子解析関連試薬を購入する。外部検査機関委託として、プロラクチンおよび診療未検査項目測定に使用する。学内共同機器の使用料として、DNAシークエンサ等の使用料に使用する。
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