抗癌薬パクリタキセルの副作用に末梢神経疼痛がある。芍薬甘草湯はパクリタキセルによるマウスの末梢神経痛を軽減させると報告された。一方、神経因性疼痛に電位依存性T型Caチャネル(Cav3.2)の関与が報告された。そこで、芍薬甘草湯がT型Ca電流を抑制するかをヒトT型Caチャネルを発現させたHEK293細胞を用い、ホールセルクランプ法で調べた。すると、芍薬甘草湯はhCav3.2 T型カルシウム電流を濃度依存性に抑制した。IC50値は1.3 mg/ml、Hill 係数は1.1であった。パクリタキセルによる末梢神経疼痛を芍薬甘草湯が軽減させる機序に、T型Ca電流抑制作用が関与する可能性が示唆された。
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