低酸素により細胞の運動能・遊走能が著明に亢進する。従来から我々は低酸素によって細胞接着分子に大きな変化が誘導されることを解析していたので、本研究においては低酸素によって誘導される接着分子のうち、この細胞運動能・遊走能の著明な亢進をもたらしている主要な接着分子を同定しようと試みた。本研究で得られた成績から、CD44とヒアルロン酸との結合によって媒介される細胞接着系の低酸素による変化が、細胞運動能・遊走能の著明な亢進の主な動因となっていることが判明した。とくに、ヒアルロン酸の合成と分解に関わる遺伝子の転写が低酸素誘導因子(HIF)によって誘導されることが重要な役割を演じると考えられた。
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