研究課題
癌には、無治療でも腫瘍が自然に消退するものがある。この「腫瘍の自然退縮現象」が高頻度に起こる癌として、神経芽腫(Neuroblastoma; NB)が知られているが、その分子メカニズムは全く不明である。最近、申請者らは、LAPTM5遺伝子産物の蓄積により誘導される細胞死(LAPTM5誘導性細胞死)がNBの自然退縮に深く関与することを見いだした。そこで、本研究では、LAPTM5誘導性細胞死の生理的機序を明らかにすることでNBの自然退縮の分子メカニズムの解明し、さらに、そのメカニズムに基づいて、自然退縮できない予後不良なNBに対する、人為的な腫瘍退縮法の確立を試みることを目的として研究を行った。24-25年度では、LAPTM5の発現は、血清除去、栄養飢餓、低酸素等の細胞ストレス環境下やNGF誘導性神経分化で発現上昇することを明らかにした。このことは、このような細胞ストレス環境下や細胞分化の過程において、LAPTM5が重要な働きをしている可能性が示唆された。また、発現アレイ解析により、LAPTM5誘導性細胞死の際、炎症性サイトカイン関連遺伝子やp53標的遺伝子が発現上昇することが見出した。26年度において、LAPTM5誘導性細胞死は、p53の活性化に依存した細胞死であること、また、LAPTM5遺伝子自身がp53の直接的な標的遺伝子であることを明らかにした。このように、本研究において、LAPTM5誘導性細胞死のメカニズムの一端を明らかにすることが出来た。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件)
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