脂質代謝酵素群の一つであるACSL3は脂肪滴の産生以外にも様々な役割を持つ。ACSL3を前立腺がん細胞に過剰発現、または発現抑制させると、内因性アンドロゲンを合成する酵素群の発現が有意に変動した。ACSL3は去勢抵抗性前立腺がん細胞株において発現が高く、副腎性アンドロゲンで細胞を刺激すると精巣性アンドロゲンの有意な上昇とともに増殖能の亢進が見られた。以上から、ACSL3は副腎性アンドロゲンから精巣性アンドロゲンを合成する酵素群の発現を促進し、腫瘍内のアンドロゲン濃度を維持することにより、去勢抵抗性を獲得していることが示唆された。
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