アジアで流行する日本住血吸虫は、その宿主である哺乳類の門脈系の血管内に寄生し、赤血球を摂取することで生殖活動を行っている。今回、住血吸虫の免疫回避と性成熟における寄生システムについて、細胞外小胞に着目した。細胞外小胞とは、生物に広く見られる生体モバイル粒子である。今回、この細胞外小胞が日本住血吸虫より分泌していることを明らかにした。さらに、この小胞は、雌雄がペアになった時、赤血球を摂取した時に分泌が増加することも分かった。また小胞内には多量のmiRNAが含まれており、雌雄での相互遺伝子調整を行っていると考えられた。また、この小胞は宿主のTh1サイトカインを抑制する働きを持つことも見出した。
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