宿主の血液・尿・唾液等の体液中に存在する住血吸虫の分泌・代謝物由来のDNA断片「遊離型DNA」について、住血吸虫の活動性感染の診断マーカーとしての有用性を検討した。フィリピンで集団駆虫が実施されている日本住血吸虫症有病地の調査では、遊離型DNAは従来のゴールドスタンダード(糞便検査)の3.5-10倍の検出率であった。難治性輸入ビルハルツ住血吸虫症例では、駆虫後の虫卵消失に反して遊離型DNAは検出され続け、膀胱組織中からは虫卵が確認された。虫卵に依存しない遊離型DNAの検出は活動性感染をより正確に評価できることが期待され、治療効果判定や有病国の感染状況の把握に有用であると考えられた。
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