研究課題
大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンターのサンプリングプロジェクトとの共同で、平成24年度末現在、210組420名の双生児のゲノムおよび血清等サンプリングが完了している。また、これらのサンプルについて、代表的な臨床検査項目の測定が完了しており、基本的な解析対象データは蓄積されている。また、生体検査として身長や体重などの基本的なデータと、検尿や骨密度、頸動脈エコー等を行った。あわせて、被験者の病歴や治療歴、あるいは食事栄養調査や生活習慣調査などの疫学的データも蓄積されている。さらに、気分調査や性格調査などのメンタルな部分の調査データの蓄積も試みている。現在、これらのデータのうち臨床検査項目に及ぼす遺伝因子寄与率と環境因子寄与率を解析するためのプレリミナリーな検討を行っているが、ACE解析に必要な二卵性双生児の比率が必ずしも多くないために、信頼性のおけるACEモデリング解析を行うにはさらにサンプル数の蓄積が必要と判断された。しかしながら、甲状腺自己抗体や生活習慣病のような頻度の高い疾患あるいは異常値について、一卵性双生児のペア内で差異がある、いわゆるdiscordant pairが相当数(1-2割)見出されている。本年度はこれらのペアのゲノムサンプルのCpGのメチル化状態について変化を解析するため、約46万か所のCpG部位のメチル化率について、CpGアイランド領域、プロモータ領域などのアノテーションごとのグループにわけ、グループ内でのメチル化率を解析できるように再構成を行い、210組においてメチル化の基礎データ整備のめどがついた。次年度にDiscordant pairにおけるエピゲノムの差について明らかにできる予定である。
2: おおむね順調に進展している
サンプルは210組420名であり、順調に収集できており、表現型によるDiscordant pairも相当数見出している。またメチル化解析についてもおおむね予定通り進行中である。しかしながら、ACEモデリング解析を行うためには一卵性双生児と二卵性双生児がどちらもある程度のサンプル数必要であるのに対し、二卵性双生児のサンプル数が低く、信頼性のおけるACE解析を行うためにはさらに二卵性双生児サンプルの割合を増やす必要がある。
二卵性双生児サンプルをさらに積極的に収集する。Discordant pairについてペアのふたりの間にどのような疫学的な差異が存在するかを解明し、ゲノムのエピジェネティックな変化についても同様にペアのふたりの間で差がないかを解析する。収集したサンプルについて得られた臨床検査値、あるいは疫学データを体系的に整理したうえで、最終的には。生活習慣や環境がゲノムのエピジェネティックな変化にどのように影響しているかを解明し、環境因子が身体に与える影響を定量的に計測できるようにする。
サンプルの収集および解析計画において、サンプルの収集状況が当初予定よりやや遅く、特に二卵性双生児サンプルの収集状況が遅れているために、分析・解析に要する費用の執行が予定より遅れた。平成25年度に施行予定であったサンプル解析を、平成26年度分とあわせて施行する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件)
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