高感度トロポニン測定により診断された潜在性心筋障害は、一般住民における心血管イベント、特に心不全発症リスクと相関することが示されている。高血圧症、2型糖尿病または慢性腎臓病により外来通院中の生活習慣病患者1012例における検討では、高感度トロポニンT測定により診断された潜在性心筋障害は約30%に存在し、潜在性心筋障害の程度は年齢、冠険因子数、左室負荷、炎症、腎機能障害や尿細管障害の程度と相関すると考えられた。さらに、高感度トロポニンTとN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド濃度はともに心不全発症の有意な独立した予測因子であり、両者の同時測定は心不全発症リスクの層別化に有用であると考えられた。
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