研究課題/領域番号 |
24590713
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
鬼頭 敏幸 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50243027)
|
研究分担者 |
横井 豊治 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40200886)
鶴澤 正仁 愛知医科大学, 医学部, 名誉教授 (90172064)
加藤 栄史 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40298584)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 国際情報交換 / 感受性予測 / 抗がん剤 / 細胞死 / 酵素製剤 / アミノ酸要求性 / アミノ酸代謝 / 選択的毒性 |
研究実績の概要 |
L-asparaginase適応悪性腫瘍疾患の探索のために、東京大学先端科学技術研究センター分子生物医学浜窪隆雄教授とともに、新たなFl ow cytometry法による測定系のためのモノクローナル抗体の作成し(Hybridoma (Larchmt). 2012 1(5):325-32.)2011年10月3日に特許出願した。この抗体を用いて、白血病臨床検体でASNS発現とL-asparaginase感受性を同時に測定し解析システムの有用性を検討し確認した。臨床での有用性を加えて特許強化し、補正書を提出、併せて2013年4月9日に国際出願した。この結果は、9月のEurope Academy of Peadiatrics (EAP)にてフランスLyonにて発表した。この際に、ヒトRBC内封入アスパラギナーゼGRASPAの開発をしているERYTECH Pharma SAの研究担当者と会談をした。GRASPAは、欧州と米国で希少薬指定を受けている。GRASPAについては第2相および第3相の臨床試験を実施中で、我々の抗体を併用したアスパラギナーゼ感受性腫瘍の検索を共同で行うことに合意した。既存の抗体を用いたASNS解析システムを利用し、小児特有の腫瘍性疾患の解析を開始し、LCH症例の低ASNS発現を見いだした。(28th annual Meeting of the Histiocyte Society 2012.10.11 London)。その後、解析可能な症例の検討によりBRAF E600V変異なしASNS低発現の3症例、一方、BRAF E600V変異ありASNS高発現例4例を提示した(29th annual Meeting of the Histiocyte Society 2013.10.22 Washington, DC. USA)。BRAF E600V変異例ではBRAF inhibitorが、ASNS低発現例ではL-aspの適応があり、治療薬選択の手がかりとなりうることを示した。新たに、悪性中皮腫の検討で、細胞株4例中1例、臨床検体4例中1例にL-asparaginase感受性例を見出し更なる検討を進めるところである。2nd International Symposium of the Cancer Research Center of Lyonにおいて September21-23, 2015で発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白血病症例の新たなFlow cytometry法による測定系のためのモノクローナル抗体の作成した。(Kusano-Arai O, Iwanari H, Mochizuk i Y, Nakata H, Kodama T, Kitoh T, Hamakubo T. Evaluation of the asparagine synthetase level in leukemia cells by monocl onal antibodies. Hybridoma (Larchmt). 2012 1(5):325-32.)この抗体は「アスパラギン合成酵素を特異的に認識するモノクローナ ル抗体」の特許として2011年10月3日出願した。2013年4月9日特許庁に、国際予備審査請求、答弁書、補正書を提出した。既存の抗体 を用いたASNS解析システムを利用し、小児特有の腫瘍性疾患の解析を開始し、NPO法人LANGERHANS CELL HISTIOCYTOSIS LCH研究会研 究助成のもと小児特有の腫瘍性疾患LCH症例の低ASNS発現を見いだした。自治医科大学森本 哲班長より依頼をうけ、厚生労働 省難治性疾患等克服研究事業「多臓器型ランゲルハンス細胞組織球症の啓発と標準治療の確立」(森本班)に加わった。悪性中皮腫という新たな治療targetを見出した。
|
今後の研究の推進方策 |
国内での多数例の白血病症例の検討を開始する。国内の主に白血病しょうにがん研究グル-プJPLSG内で、臨床研究プロジェクトとし て提案し採択後は、各施設のIRB承認のもと国内での多数例でのASNS低発現とL-asparaginase感受性の検討を行う。フランスのERYTECH Pharma SAは、腫瘍治療向け医療製品を開発しているバイオ製薬企業で、同社が特許を取得した中核的技術は、ヒトRBCの活用を基盤として治療用酵素(アスパラギナーゼなど)の持つ特性としての薬物動態と薬力学を改善するもので、ERYTECHの 主力製品である急性リンパ芽球性白血病(ALL)治療薬GRASPAは、欧州と米国で希少薬指定を受けている。GRASPAについては第2相およ び第3相の臨床試験を実施中で、我々の抗体を併用したアスパラギナーゼ感受性腫瘍の検索を共同で行うことにしている。Lyonを訪問し同社のCEOと交渉した結果companion試薬としての採用を念頭に共同研究をすすめている。新たな免疫染色によるtarget として LCH症例に加えて皮膚科・melanoma 婦人科・卵巣腫瘍 消化器外科・すい臓がんが注目され ている。学内診療科、病院病理部と共同して、免疫染色法による系統的な症例解析を開始している。悪性中皮腫という新たな治療targetを見出した。GRASPAのtargetとして、治験候補疾患にならないか検討中である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、フローサイトメトリーと免疫染色の2本立てで解析をしていて、平成24年度中に、結果を併せて発表するつもりであったが、新たな知見により免疫染色のプロセスの変更が生じ、免疫染色の実施及び費用が未使用となった。計画を変更し、フローサイトメトリーの結果の公表を2014年12月にAmerican Society of Hematology学会で行った。
|
次年度使用額の使用計画 |
新たな免疫染色の解析と解析結果に伴う研究成果についての学会発表を、次年度に行うこととして、未使用額はその経費に充てることにした。2nd International Symposium of the Cancer Research Center of Lyon September 21-23, 2015で発表する予定である。
|