研究課題
Protein kinase R (PKR)は、非癌部の肝組織に比べてHCV関連肝細胞癌において強発現している。しかし強発現したPKRのHCV関連肝細胞癌の発癌と進展における役割については不明であった。昨年度までの研究で、HCV感染肝癌細胞株を用いて、PKRがHCV関連肝細胞癌において細胞増殖能を亢進させており、その作用はErk1/2→c-Fos, JNK→c-JunのMAPK経路に依存していることを同定した。本年度は手術あるいは肝生検時に得られたヒト肝細胞癌組織34例(HCV陽性17例、陰性17例)より、mRNAを抽出し、PKR mRNAの中央値からPKR高発現群と低発現群に分けた。次に3.で同定し得た細胞内癌関連遺伝子について、mRNAおよび蛋白をリアルタイムRT-PCR、ウエスタンブロット法で測定し、PKR発現量によって増減するかどうかを検討した。またHCV陽性群と陰性群に分けて検討を加えた。その結果、肝細胞癌でPKR高発現群においてPKR低発現群よりc-Jun mRNAが増加していた。その差は、HCV陰性例ではみられず、HCV陽性例で有意差がみられた。また、Western blotによる検討で、PKR高発現群ではPKR低発現群よりリン酸化c-Fosとリン酸化c-Junの発現が増加しており、in vitroのデーターと合致した。つまり、特にHCV陽性肝細胞癌において高発現するPKRはc-Fos、c-Junを活性化しており、腫瘍の増殖、進展に関わる可能性が示唆された。これらの結果より、HCV関連肝細胞癌においてPKRは治療標的となり得ると考えられた。
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