研究課題
肝炎ウイルス感染者における肝発癌は、定期的に感染者を経過観察することにより早期発見が可能である。しかし、飲酒量が減少に転じる中、非ウイルス性肝細胞癌の症例数は増加し続けている。その中心と目されるのが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)から肝硬変に移行した症例である。MC4Rは脳に特異的に発現する受容体であり、これを欠損すると食欲が亢進し、高度肥満をきたすことによりNASHを発症し肝硬変に至ることが知られている。 MC4R欠損マウスも高度肥満からNASHを発症し、AFP産生性肝細胞癌をきたすことが知られている。そこで、ヒトと同じ遺伝子の欠損がほぼ同様の表現型を示すこのモデルのPPAR-α受容体を欠損させて、肝発癌に至る過程を検討した。MC4R欠損マウスもMC4R・PPAR-α欠損マウスも高度肥満を生じた。MC4R欠損マウスでは脂肪肝の進展とともに肝臓におけるPPAR-αの下流遺伝子が活性化されたが、MC4R・PPAR-α欠損マウスではその活性化が生じなかった。MC4R欠損マウスでは肝内に炎症細胞浸潤が惹起され線維化を生じたが、MC4R・PPAR-α欠損マウスではそれらの変化は軽度にとどまった。MC4R・PPAR-α欠損マウスでの肝発癌も抑制されると期待されるので、その背景肝に関する情報を得たいと考えている。
2: おおむね順調に進展している
MC4R欠損マウスの作成、PPAR-α欠損マウスの作成、MC4R・PPAR-α欠損マウスの作成を行い、現在、肝発癌を誘発中である。体重計測などを行いつつ、週齢が進むのを待っている。
肝発癌に至った段階で、その頻度と大きさを計測する。また、血液生化学検査に加えて、遺伝子発現を検討し、肝発癌の機序を明らかにし、抑制の手立てを考案する。
すべて 2013
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