肝癌細胞を高インスリン条件下で培養すると、Eカドヘリンの発現が低下し、PI3K-Akt-mTOR経路の活性化、HIF-1α活性化を介し、血管内皮増殖因子(VEGF)産生が亢進することが確認された。インスリンによるVEGF誘導は、低分岐鎖アミノ酸培養条件下で促進され、分岐鎖アミノ酸の補充により抑制されることが明らかとなった。その機序として、低分岐鎖アミノ酸培養条件下ではVEGF mRNAの安定性が増し半減期が延長し、分岐鎖アミノ酸の補充はVEGF mRNAの安定性を減弱させ、半減期を短縮させることが解った。インスリンと分岐鎖アミノ酸はVEGF産生に対して相反する作用を持つことが明らかとなった。
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