研究課題/領域番号 |
24591196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高畠 義嗣 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30403075)
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研究分担者 |
猪阪 善隆 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00379166)
北村 温美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60570356)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オートファジー / 老化 / ミトコンドリア / 近位尿細管 / p62 |
研究概要 |
平成24年度は、「腎老化に対する防御機構としてのオートファジーの関与の検討」を重点的に行った。 近位尿細管細胞特異的オートファジー不全マウス(KAP-Cre;Atg5floxマウス、以下KOマウスと)および野生型マウスを最長約2年間飼育した。より若年の同マウスを含め生後6、12、18、24カ月令のマウスにつき採血・採尿し、腎機能(血清クレアチニン、尿素窒素、シスタチンC)を測定した。その結果、野生型・KOマウスとも経年的に腎機能は悪化し、2年齢のKOマウスでは同年齢の野生型マウスに比較して、腎機能が悪化していた。 また各月令のマウスを屠殺し、腎組織を採取した。2年齢のKOマウスでは同年齢の野生型マウスに比較して間質の線維化(マッソントリクローム、タイプIコラーゲン染色で評価)が進行していた。またp62染色にて2年齢のKOマウスの尿細管にタンパク凝集塊と思われるドットが散見された。 今後さらに腎臓の老化の特徴(SA-beta gal染色・リポフスチン沈着)がないか探索する予定である。 また「オートファジーがミトコンドリアの新陳代謝を担っており、それによって抗老化に寄与している」との仮説のもと、ミトコンドリアに焦点を当てて解析を開始している。具体的にはマウスを屠殺する際に、一方の腎をそのまま回収し、ミンチング、コラゲナーゼ処理したあと、ビーズで近位尿細管細胞を回収した。そのサンプルからミトコンドリアDNAを精製した。今後8OHdG(酸化ストレスによるミトコンドリアDNA傷害)、ミトコンドリアDNAの欠失、点突然変異などを評価していく予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績報告書に記したように、最大2年間KOマウスおよび野生型マウスを飼育し、各群10匹以上の血液・尿・組織サンプルを採取できた。プレリミナリーな実験結果ではおおむね、予想通りの結果が得られている。 もっとも重点的に研究したいミトコンドリアの障害に関しては、シスプラチンなどすでにミトコンドリアが障害されることが判明しているモデルを陽性コントロールとして、そのアッセイ系を確立しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
前述のマウスのサンプルの解析を行う。ミトコンドリア障害に焦点を当てて「オートファジーがミトコンドリアを健康な状態に保つことによって抗老化に寄与している」ことを証明したい。 別のモデルとして研究調書どおり、「腎不全時の代謝性アシドーシス時の細胞適応(アンモニア産生など)にオートファジーが寄与している」との仮説を検証する予定である。具体的には尿細管細胞特異的オートファジー不全マウスに塩化アンモニウム負荷を行い、アシドーシスの程度、アンモニア産生(血中・腎組織中濃度、尿中濃度(FENH3))、尿細管の組織学的観察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度と同様、マウスの系統維持、アッセイ用の抗体をはじめとする試薬に研究費を重点的に使用する予定である。
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