研究課題/領域番号 |
24591241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
本田 浩一 昭和大学, 医学部, 講師 (70297000)
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研究分担者 |
宮崎 章 昭和大学, 医学部, 教授 (70253721)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 慢性腎臓病 |
研究概要 |
慢性腎臓病(CKD)は心血管病変(CVD)発症・進展の重要な危険因子であり、CKD患者の予後はCVDの合併と密接に関連する。その病態の探究は同患者予後の向上の上で急務である。本研究課題では、腎不全環境において高頻度に認められる過形成性内膜肥厚、石灰化プラーク病変の発症・進展過程における細胞接着斑蛋白質hydrogen peroxide-inducible clone-5(Hic-5)の役割に焦点を絞り、検討を行う。 研究の方法は透析患者および腎機能正常患者剖検病理標本の頸動脈および大動脈におけるHic-5の局在の検討、血管平滑筋細胞培養系を用いたHic-5の血管平滑筋細胞遊走能への影響やアポトーシス・骨芽細胞様細胞へ形質転換との関係、Hic-5欠損マウス5/6腎摘腎不全モデルを用いたマウス大動脈、大腿動脈血管病変におけるHic-5と平滑筋細胞の局在探索などである。 平成24年度は血液透析患者および腎機能正常患者から得られた剖検病理標本の頸動脈および大動脈におけるHic-5の局在について、糖尿病や脳梗塞の既往の有無に分けて検討を行った。血管壁内のHic-5の局在と血管平滑筋細胞との関係を検討するために、Hic-5およびαSM-actinに対する抗体を用いた組織免疫染色にて評価した。透析患者では中膜平滑筋細胞の減少を認める一方で、残存平滑筋細胞内にHic-5の発現が亢進し、特に、頸動脈で壁肥厚が高度な例でHic-5発現が強く、内膜内への平滑筋細胞遊走との関連が認められた。現在、平滑筋細胞培養系を用い、リン負荷や酸化ストレス環境でのHic-5と平滑筋細胞のアポトーシスや骨芽細胞様細胞への形質転換との関係を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の剖検組織を用いた研究計画では、維持透析患者(糖尿病6名、非糖尿病6名)および脳梗塞を発症した腎機能正常者(糖尿病6名、非糖尿病6名)を予定した。しかし、血管壁内でのHic-5発現が高血圧や加齢などの影響を受けるため、剖検症例数を増やしてHic-5発現と血管平滑筋細胞との関係の詳細について検討を行った。以上の追加実験の実施のために研究の進捗が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では野生型およびHic-5欠損マウスを用いた5/6腎摘モデルによる検討を行う予定であったが、剖検組織から得られた結果を踏まえて、血管平滑筋細胞培養系実験を先行させている。今後も培養実験系を継続しHic-5の発現に関連する因子、Hic-5と平滑筋細胞の血管壁内遊走や平滑筋細胞の形質転換との関係についての詳細を検討する。また、培養実験の進捗を考慮し動物実験を開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、現在継続中の血管平滑筋細胞を用いた培養実験費用の一部とする。また、前年度実施予定であった動物実験費に充当させる予定である。
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