研究課題
基盤研究(C)
解糖系は癌、免疫疾患、糖尿病など多くの疾患で重要な役割を果たすエネルギー産生機構であるが、その制御機構は未だ不明な点が多い。そこで本研究では解糖系と酸化的リン酸化を同程度利用してATP産生を行う癌細胞の特性を応用し、ゲノムワイドsiRNAライブラリーを導入した癌細胞を酸化的リン酸化阻害剤で解糖系依存状態にした際に特異的に細胞の生存、増殖が抑制されるという合成致死性を示すsiRNA配列を同定することで、網羅的かつ効率的に解糖系制御遺伝子を同定し、解糖系制御の新たなパラダイムの創生と癌や炎症性疾患など解糖系関連疾患への応用を目指す。H24年度では、新規解糖系制御遺伝子の同定を目指した。肺癌細胞株PC-8にゲノムワイドsiRNAライブラリーであるGeneNet Human 50K siRNA Library (SBI) を導入したものを利用しスクリーニングを行った。oligomycinをライブラリー導入細胞へ加え、3日間培養する。この培養細胞群と溶媒だけを加えたコントロール培養細胞群からtotal RNAを回収し、逆転写を行い、siRNAカセット部分をPCRで増幅しAffymetrix U133+2 GeneChip Arrayで解析を行った。その結果、19の候補遺伝子が同定された。アレイ解析により選出された解糖系制御候補遺伝子に対して、再度shRNAを導入してノックダウン細胞を作製し、OXPHOS阻害剤存在下での増殖アッセイを行い、アレイ解析と同様の結果が出る遺伝子を同定に着手した。
3: やや遅れている
アレイ解析の遅れと再現確認のための異なるshRNA配列によるノックダウン細胞作製に予定より時間がかかってしまったが、次年度以降で十分挽回可能だと考えられる。
解糖系制御候補遺伝子のノックダウン細胞についてOXPHOS阻害剤存在下での増殖アッセイと乳酸産生を行い、解糖系制御遺伝子を同定する。同定された解糖系制御遺伝子の役割について、解糖系のどのステップに影響を及ぼすか、またどのような分子と相互作用するかに着目して解析を進める。その後、解糖系に依存しているがん細胞の腫瘍増殖やマクロファージの炎症反応における新規解糖系制御遺伝子の影響について解析を進める。
次年度の研究費は解糖系制御候補遺伝子についてノックダウン細胞の作製、OXPHOS阻害剤存在下での増殖アッセイと乳酸産生の解析に使用する計画である。
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Blood
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10.1182/blood-2011-11-390849
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http://www.motoharu-seiki.com/