研究課題
正常乳腺上皮MCF-10A細胞および7種類の乳癌細胞株を用いて、解糖系制御分子Xの発現を解析した。その結果、BT-474細胞を除いた乳癌細胞株において、MCF-10A細胞に比べて分子Xの高い発現を確認した。また、ERK阻害剤U0126添加により、BT-474細胞、MDA-MB-453細胞以外の細胞株で分子Xの発現が低下した。分子XがERKによる発現制御を受けている可能性が示唆されたため、分子Xのプロモーターアッセイを行ったところ、分子Xプロモーター中の2箇所のELK1結合サイトがU0126処理応答性の発現に関わることが明らかとなった。そこでELK1抗体を用いたChIPアッセイを行ったところ、確かに上記ELK1結合サイトにELK1が結合していることが明らかとなった。これらの結果から、ERK->ELK1->分子Xの発現制御機構が明らかとなった。続いて、ヒト臨床検体における分子Xの発現についてデータベースを用いた解析を行った。Oncomineデータベースを用いた解析から、乳腺正常組織に比べ、乳がん組織で分子Xの発現が上昇していた。Prognoscanデータベースを用いた解析から分子Xの発現が高い乳癌患者群では遠隔転移無し生存期間の低下が確認された。これらの結果から、分子Xはヒトの乳がんで高発現し、乳癌の転移に関わることが明らかとなった。以上の結果から、分子Xががんで亢進しているERKシグナルの標的分子であり、乳癌の悪性化に関わることが明らかとなった。
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Sci Rep
巻: 6 ページ: 22784
doi: 10.1038/srep22784.
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/hitogan/index.html