研究課題/領域番号 |
24591695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藁谷 正明 東北大学, 加齢医学研究所, 非常勤講師 (50533775)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオマーカー / アルツハイマー病 / VBM-MRI / MRS |
研究概要 |
本研究の目的:これまでのアミロイドPET等を用いた大規模臨床研究(ADNIなど)から、アルツハイマー病(AD)は発症時には既に不可逆的神経変性の病態が確立している頃が判明し、各種根本的治療の試みも遅きに失していることが推測されている。したがって、日常診療レベルでの各種バイオマーカーによる超早期、発症前AD予備軍のスクリーニング, 抽出方法を探索、確立し、いわゆるADドック検診の実現を目指す。 対象、方法:物忘れ受診患者、脳ドック受診患者に対し、MMSE、VBM(Voxel Based Morphometric)-MRIおよび後部帯状回におけるMagnetic Resonance Spectroscopy(MRS)と血漿中Aβ40,42及び同意を得られた患者に対して腰椎穿刺による脳脊髄液中Aβ40、42、Aβオリゴマー、タウタンパクの測定を行う。 さらに非侵襲的、安価で簡便な血漿などを用いた末梢バイオマーカー候補であるAlcadein分解産物であるp3Alcの測定を行う。(Aβオリゴマーの測定は共同研究者である京都府立医科大学神経内科 徳田隆彦准教授に依頼する。p3Alcαの測定は北海道大学薬学部教授の鈴木利治教授に依頼する。) VSRADを用いたVBM-MRI及びMRSの画像所見と、血漿、脳脊髄液由来のアルツハイマー病バイオマーカー候補因子との関連を解析し、ADの正確な超早期診断と発症前診断及び早期介入によるAD発症予防と進行抑制を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度では160名の対象(健常高齢者、MCI、AD及び瀰漫性Lewy小体病DLB)に対して、全例にMMSE、VSRADを用いたVBM-MRIと後部帯状回のMRSを施行した。98名に対し、脳脊髄液中Aβ40,42、タウ、Aβオリゴマー及びp3Alcαを測定した。これまでの報告の通り、AD、MCI及びMCI移行例では脳脊髄駅中AB42の低下傾向とタウの上昇を認めた。また、後部帯状回のMRSによるchemical shift解析では、AD、MCI、MCI以降例及びDLBでは有意なNAA/Cr値の低下を認め、これらの値は認知機能(MMSE)に有意に相関した。VSRADも1年の追跡で、側頭葉内側部の萎縮が早期から萎縮することが判明した。MRSとVSRADさらには脳脊髄液中バイオマーカーの総合的検討によりADの正確な超早期診断、発症予測及び早期介入が可能と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
対象患者数を増加する予定である。また各々の対象者について、MRI所見と各種バイオマーカーの経時的変化を追跡し解析する予定である。 これにより、どの補助診断方法あるいはバイオマーカーの組み合わせがアルツハイマー病の超早期診断あるいは発症前診断に最適であるかをROC等の統計学的手法で検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、健常高齢者、MCI、AD、その他の認知症疾患から採血及び腰椎穿刺を同時に施行し、ポリプロピレンチューブに-80℃で保管する。検体数が60名以上に達した時点で、 血漿及び脳脊髄液中のAβ40,42、タウ、Aβオリゴマー及びp3AlcをELISAにより測定する。脳脊髄液中Aβ40,42、総タウのEKISA Kit購入に60万円を計画している。
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