人の共感に関係する脳の機能を、現実の対人世界で測定・評価することで、その個人差やそれが非定型的な発達をしていると推定される自閉スペクトラム症の患者を理解することが本研究の目的である。脳機能の測定は、2台の機能的近赤外光スペクトロスコピー装置を用いて、2人の脳機能を同時測定する方法で行った。東日本大震災の体験を面接をする側、面接をされる側を交互に行う際の前頭葉の反応と被験者の心理的特徴との相関や、ASD患者とそうでない人との比較を行った。すると、脳の反応性は協調性や勤勉性といった性格特性と相関し、患者では反応量が少ない傾向を認め、本研究で採用されたような研究方法の有用性を示唆していると思われた。
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