研究課題/領域番号 |
24592008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
別府 透 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70301372)
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研究分担者 |
安東 由喜雄 熊本大学, その他の研究科, 教授 (20253742)
岡部 弘尚 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (40573621)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 血中癌細胞 / CD44+CD90+細胞 / 上皮間葉形質転換 |
研究概要 |
まず肝細胞癌の原発巣の特性として、CD44が肝細胞癌の間葉系の性質と相関し(Vimentinの発現とCD44の発現は相関し、E-Cadherinの発現とは逆相関)、TGFβ signalの下流に存在すること、またヒト肝細胞癌症例において、CD44陽性腫瘍は予後不良であることを報告した(Mima et al. Cancer Res 2012)。今研究の血中癌細胞の検出方法にはFACS AriaIIを用いたSortingによる分離を行った。肝細胞癌患者(StageIII、StageIV)血液 7mlを用いて解析を行った。CD90+CD44+細胞の割合は0.1%をcut-offとして(Sheung TF et al. Ann Surg 2011)、これを超える症例を6例中2例認め、この細胞をSortingで分離し、RNAを分離してMajor populationであるCD44-CD90-細胞とのmRNAにおける発現差を比較した。肝細胞の分離の確認としてAlbの発現を比較すると、CD44+CD90+細胞のみにAlbの発現を認めた。細胞数は非常に少なかったため(<300個)、蛋白レベルでの発現確認は困難であった。更に、血中癌細胞の特性を固形腫瘍と比較するため、固形癌からの癌細胞分離に取り組んでいる。固形腫瘍にて細胞がもっともviableな状態でsingle cell separationを遂行できる反応時間や消化酵素の濃度条件をコラゲナーゼ(II、IV)・ヒアルロニダーゼ・DNase・Miltenyi Cell Separation Deviceなど種々な消化酵素を用いて検証中である。また、これらの細胞からMutataionを検出するため、肝細胞癌に典型的なMutationを有する細胞株を用いて、ダイレクトシークエンス法を用いたMutationの検出に必要な細胞数の検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血中癌細胞の検出法については、癌細胞の個数とその特異性についてはまだ確証できていない部分はあるものの、mRNA解析に必要な細胞個数に届いているものと考えられる。抗体の検証・情報収集やSortingを主軸とした実験環境の整備に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
血中癌細胞の特性を明らかにするためには、固形組織における癌細胞の特性を比較する事が必須である。従って、固形組織からの腫瘍細胞分離を同時に行っているが、組織からの癌細胞分離における問題点としては、酵素分解した細胞のほとんどが死細胞(トリパンブルー陽性)であることである。肝腫瘍が切除されてから迅速にその細胞を分離する必要があると考えられ、当施設の特徴として、手術室・組織標本整理室・FACS解析を行う棟がすべて別に分かれており、切除されたタイミングから標本整理・腫瘍組織消化開始までの時間が少なくとも30分以上かかることが大きな壁である。今後死細胞の除外を行うことで解析のQualityを上げる工夫を試みたい。これらの課題を乗り越え、RNA・DNA・蛋白レベル個々の詳細な解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の使用予定研究費は、今後の研究方針に添って行う。 試薬、培地、その他実験器具(消耗品)等の実験に必要な物品の購入費が必要である。
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