子宮内膜症性卵巣嚢胞(EMoma)は一般に良性であるが、その0.7~1.6%が悪性転化して卵巣癌(OCEM)を発生する。本研究ではその分子メカニズムを調べるために、パラフィン包埋切片から子宮内膜症、移行部、癌細胞をマイクロダイセクションにより切り出し、抽出したDNAより変異を調べた。6染色体上の13マイクロサテライトマーカーを用いて、OCEMおよびEMomaからそれぞれ31および8か所のヘテロ接合性の消失(LOH)を検出した。2か所の点突然変異が検出された。特定の腫瘍関連遺伝子の突然変異ではなく、いくつかの染色体遺伝子座に蓄積されたLOHイベントが子宮内膜症の癌化に関与し得ることが示唆された。
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