研究課題
基盤研究(C)
卵巣癌細胞株においてがん遺伝子ガンキリンとubiquitin like modifierのひとつであるNEDD8はたんぱくレベルで高発現していた。in vitro gankyrin neddylation assay(バクテリアで発現、精製したrecombinant E1, recombinant E2, NEDD8, ATP, E3としてガンキリンと複合体を形成するMDM2を使う)でガンキリンのNEDD8修飾が起こるかどうかを抗ガンキリン抗体と抗NEDD8抗体でのウエスタンブロットで検討したところ、ガンキリンはNEDD8修飾(mono-neddylationだけでなく、polyneddylationも)をうけた。Gali Pragらが2011年のEMBO journalで報告しているsynthetic biology methodをガンキリンのNEDD8化にも使ってみることにした。Affinity-tagged substrate(Gankyrin)とNEDD8、E1、E2、E3をバクテリア中でco-expressionすると、in vitro gankyrin neddylation assayと同様にガンキリンはNEDD8修飾(mono-neddylationだけでなく、polyneddylationも)をうけた。HEK293T細胞に3FLAG-tagged GankyrinとHis6-Tyg-tagged NEDD8を共発現させ、抗FLAG抗体で免疫沈降、3XFLAG peptideでelute、さらに、His-resin beadsで精製したところ、抗FLAG抗体および抗Tyg抗体でのウエスタンブロットにて、3FLAG-Gankyrinがmononeddylationおよびpolyneddylationをうけていることがわかった。
3: やや遅れている
MIS2Rの遺伝子のプロモーター領域の下流にCre-recombinaseをつないだ発現ベクターを作ったところで、実験が止まっている。来年度に卵巣表面上皮細胞(ovarian-surface-epithelium, OSE)特異的にCre-recombinaseを発現するトランスジェニックマウスのラインを得るところから、実験をスタートさせることになる。その後、卵巣のノーザンブロット、抗Cre-recombinase抗体を用いた卵巣のウェスタンブロットと免疫組織化学染色により、卵巣におけるCre-recombinaseのRNAとタンパクレベルでの発現を確認する。EF1promoterの下流に、loxP-Stop-loxP cassetteを配置し、さらにその下流に、FLAG-tagged NEDD8修飾ガンキリン代替分子をつないだconstructを作製するところまでは終了しているが、来年度は卵巣表面上皮細胞特異的(OSE)にNEDD8修飾ガンキリン代替分子がコンディショナルに過剰発現するtransgenic linesを得るところから、始めることになる。これらのマウスと上記のOSE特異的にCre-recombinaseを発現するトランスジェニックマウスをcrossさせて、OSE特異的にNEDD8修飾ガンキリン代替分子を過剰発現するマウスを得る。E1-NEDD8、E2-NEDD8、E3(MDM2)-NEDD8、NEDD8修飾ガンキリン代替分子-S6ATPase-interactionを研究するためのComplementation systemとしてVenus protein、DHFRを使用するconstructsは作製した。結合阻害物質としての有機低分子化合物のスクリーニングは来年度に行う予定である。
野生型ガンキリン、NEDD8修飾されないリジン・アルギニン置換変異型ガンキリン、ガンキリンのC端部分にdi-glycine(GG)を除いたNEDD8を融合した分子(NEDD8修飾ガンキリンの代替分子)の3分子の細胞癌化能を比較する。ガンキリンの活性に対するNEDD8修飾の効果を見る。NEDD8修飾ガンキリンの活性化の機序を検討する。OSE特異的にNEDD8修飾ガンキリン代替分子を過剰発現するマウスを得る。NEDD8修飾系のE1-NEDD8、E2-NEDD8、E3(MDM2)-NEDD8、NEDD8修飾ガンキリン代替分子-S6ATPase相互作用を阻害する有機低分子化合物をスクリーニングする。PIPであるガンキリンのNEDD8修飾が26Sプロテアソームの機能に与える影響を調べる。NEDD8修飾ガンキリンに関与するE3、DUBを同定する。新規の抗NEDD8修飾系阻害剤、NEDD8修飾ガンキリン阻害を介したプロテアソーム阻害剤と考えられる有機低分子化合物について、characterizeする。OSE特異的にNEDD8修飾ガンキリン代替分子を過剰発現するマウスの卵巣癌発生のプロセスを観察する。種々の時期の卵巣癌のgene-expression-profilesをDNA-microarrays、miRNA-microarraysの受託サービスで検討する。種々の時期の卵巣癌のタンパク質のprofileを2次元電気泳動によるproteomicsで解析する。抗NEDD8修飾系阻害剤、NEDD8修飾ガンキリン阻害を介したプロテアソーム阻害剤の効果をトランスジェニックマウスの卵巣腫瘍に直接注入して効果を検討する。
該当なし。
すべて 2014 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 432(1) ページ: 22-27
10.1016/j.bbrc.
BMC Biotechnol.
巻: 12 ページ: 72-80
10.1186/1472-6750-12-72
Proc Natl Acad Sci U S A.
巻: 109 ページ: 10885-10890
10.1073/pnas.1121524109