重症敗血症は全身のインスリン抵抗性を生じ、心不全を含めて重篤な多臓器不全を引き起こす。本研究において、心臓のエネルギー基質がインスリン非依存的に脂肪酸からグルコースに変換したマウスモデルが、敗血症性の心不全に対して抵抗性か否か、を検証した。リポポリサッカライド(LPS)腹腔内投与による敗血症モデルを作製すると、実験群では心機能がコントロール群よりさらに悪化した。LPS投与後の心臓では、取り込まれたエネルギー基質が異化(ATP産生)されずに、同化(エネルギー貯蔵)された。以上から、グルコース取り込みを促進する治療だけでは、敗血症による心機能低下は改善しないことが明らかとなった。
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