研究課題/領域番号 |
24592739
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
小野寺 睦雄 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (70378199)
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研究分担者 |
西村 匡司 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10172701)
中瀧 恵実子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60467818)
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キーワード | 集中治療 / 重症度評価 |
研究概要 |
集中治療を必要とする重症患者を評価する指標としては、死亡リスクを評価項目としたものとしてAPACHEスコアやSAPSスコアが、臓器不全を評価項目としたものとしてMODSスコアやSOFAスコアが用いられている。これらの重症度評価システムの多くは生理学的パラメータを中心とした因子を用い、数学的手法により構築したモデルであるが、モデルと実際の患者群との間の差異が避けられない。またIL-6やTNF-αなどの炎症性・抗炎症性サイトカインは重症患者においてしばしば使用されるバイオマーカーであるが、侵襲による生体反応の大きさは反映するものの、臓器障害の程度とは必ずしも一致しない。 ATP(アデノシン三リン酸)は生体内におけるエネルギー代謝の最終産物であり、エネルギー代謝を反映したバイオマーカーとなり得る。類似のバイオマーカーとして使用される乳酸が嫌気性代謝に関連した間接的なバイオマーカーであるのに対し、ATPは生体内で利用されるエネルギーそのものであり、より精度の高いバイオマーカーとして有望である。 本研究は重症患者における重症度評価・予後予測のバイオマーカーとしての末梢血ATP濃度の有用性を検証することを目的とし、敗血症患者を中心として経時的なATP濃度の変化と患者属性、転帰(予後および在院日数、ICU在室日数、不全臓器数)に関するデータを収集し、それらの関連を解析するとともに、他の指標(APACHE IIスコア、乳酸など)と比較して精度を検討する。本年度は3か年のうちの2年目であり、1年目に引き続いて検体採取およびデータの収集、整理を行い症例を蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体の採取やデータの収集、整理の作業に関しては大きな問題なく、おおむね順調に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きデータを収集して症例を集積する。対象は敗血症を中心とした重症患者であるが、敗血症以外の患者についても範囲を広げる。 また最終年度となるので集積したデータの解析を行い、関連学会等での発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度の症例数が見込みよりも少なかったため、検体採取等に使用する消耗品等に残が生じ、追加購入が計画よりも少なくなった。 次年度も症例の集積を予定しており、次年度への繰越額は検体採取に使用する消耗品等への使用を予定している。 またデータの整理保存、解析のための記憶媒体、ファイル等の購入と、情報収集・成果発表のために学会参加や論文投稿料への使用を予定している。
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