研究課題/領域番号 |
24592742
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
森村 尚登 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20239685)
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研究分担者 |
後藤 隆久 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00256075)
坂本 哲也 帝京大学, 医学部, 教授 (40365979)
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キーワード | 毛細血管再充満時間 / ショック / パルスオキシメータ |
研究概要 |
第一に昨年度検討したQ-CRT測定の再現性に係わる解析結果について、国際学会(The 18th World Congress on Disaster and Emergency Medicine、The 26th Annual Congress of European Society of Intensive Care Medicine)において報告し、有識者と意見交換を行った。検者間の測定値に統計学的には差を認めなかったことを示したが、症例によっては明らかな絶対値のばらつきがあったため、診療の中断をせずに重症初期診療中であっても、高い検査制度すなわち検者間の高い再現性を実現することを目的に、測定する指周囲に装着して空気による一定の陽圧で測定する指圧迫機構を開発し、試作機を作成した(特許出願中)。 第二に、集中治療室入室16症例に対して46回測定を実施して得られたQ-CRTの232波形について解析を実施した。その結果、乳酸値やBase deficitとQ-CRTとの統計学的な関連を認めなかった。これは、今回の対象症例の乳酸値がいずれも正常範(2 mmo1/1以下)であったことに起因すると考察している。 第三に、先行研究結果と本研究による知見を併せて英文論文(タイトル名:Quantitative capillary refill time (Q-CRT): A novel technique for CRT measurement with excellent diagnostic accuracy for high blood lactate levels in critically ill patients)を作成し、現在Emergency Medicine Journal誌に投稿し、査読進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、「パルスオキシメータの原理を応用して定量化したCRTが、乳酸やbase deficitで規定したショックの程度を説明できるかどうかを解析すること」である。Q-CRTの有用性を示すにあたって、Q-CRTの測定方法そのものの精度すなわち再現性は絶対に解決しなければならない課題の一つである。異なる検者間で検討を行い、統計学的には再現性を証明できたものの、絶対値のばらつきは明らかであり、これを解決する手段の一つとして自動圧迫機構が不可欠と考えてきた。年度中に開発を終えて導入する予定であったが、最終的に年度末での開発となったため、実際の症例への適用が遅れたことが、全体の研究の遅れの一因と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究結果でも乳酸値が低い範囲における相関性は強くなかったことから、平成26年度はより重症度が高い初期診療中の症例を中心にデータ収集する予定である。併せて上記自動指圧圧迫機構を用いた測定を行い、検者の測定方法に係るバイアスを排除して精度を高める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度、検者間の検査再現性が一部乏しかったため中途で一旦データ集積を中断したこと、またそもそも試作機の開発が遅れたため、データ集積開始が遅れたために当初予定よりも症例集積数が少なかったので、機械のメンテナンスなどに要する費用が少なかったためである。 センサーの充填や機械のメインテナンスに係わる諸経費、検討結果の学会報告ならびに論文作成、報告書作成に係わる諸経費に使用する予定である。
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