研究課題
動物モデル研究:SHR/ND系ラットの頭部CT画像では,糸結紮および菌投与を行った歯周病群に臼歯の根分岐部が露出する顕著な歯槽骨吸収が観察された。一方,糸結紮のみのコントロール群の骨吸収程度は歯周病群より著しく小さく,根分岐部が露出した個体も認めなかった。腹部CT画像では,歯周病群はコントロール群に比べて総脂肪量に占める内臓脂肪量の割合が高かったが,収縮期血圧,血清中のLDL-およびHDL-コレステロール,中性脂肪,グルコースレベルは両群間に有意差はなかった。歯周病は食欲抑制とエネルギー代謝亢進に関わるレプチンの受容体欠損によるメタボリックシンドローム(MS)発症に影響しないと考えられた。細胞生物学研究:3T3-L1細胞は,培養5日目以降に脂肪細胞への分化を示す脂肪滴が観察された。分化した3T3-L1細胞はTNF-α,IL-6またはCRP刺激によってTNF-α,IL-6,MMP-1,TIMP-1発現が増加した。一方,アディポネクチン発現はTNF-α刺激で低下し,IL-6,CRP刺激で増加したことから,炎症性サイトカインやCRPは,脂肪細胞の悪玉アディポカイン産生増加またはアディポネクチン産生低下を誘導し,MSを増悪させる可能性が示唆された。また,脂肪細胞による細胞外基質タンパク代謝促進を介して脂肪組織を増加させる可能性が示唆された。疫学研究:歯周ポケット非保有者に比べて保有者はALTとGGTレベルが高かったため,ALTとGGTを目的変数として,肝機能に影響する因子(年齢,性,飲酒習慣の有無等)で調整し多重ロジスティック回帰分析を行った。その結果,GGTのみ歯周ポケット保有との間に関連性が認められたことから,歯周病は肝機能に悪影響を及ぼし,その影響は微量のアルコール摂取と同程度であることが示唆された。
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