研究課題/領域番号 |
24593190
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田所 良之 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (50372355)
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キーワード | 対人援助関係 |
研究概要 |
本研究の目的である、日本における患者-看護師間の対人援助関係の構築・促進・維持に関する看護技術の特徴を明らかにするために、平成25年度は以下のことを行った。まず、前年度に引き続き、対人援助関係に関する関連書籍や文献からの資料収集・研究協力者とのブレインストーミング・関連学会やセミナーへの参加による知見の収集を継続した。結果、日本と比して、海外、特に欧米諸国の文化においては、看護師だけでなく医療者と患者がその対人関係を構築することに困難なことが少ないことが考えられた。また、関係性の構築・促進においても、その同質性の高い文化的背景がゆえに、関係性の悪化を嫌い、相手への言葉による確認なしの気遣い・推し量り・遠慮という特徴をもつ日本文化に対して、意見が対立して関係性が悪化したとしても言語により個々の主張を論じ、解決に至ることを重視するという欧米文化との差異が示唆された。また、今年度は海外で働いている、あるいは、働いた経験をもつ日本人看護師を対象としたインタビュー調査を行った。具体的には、日本での看護基礎教育をうけたり看護師経験を持ち、英国ロンドンで看護師として働く日本人看護師14名を対象とした個別、あるいは、グループによるインタビューを行った。インタビューは現在、逐語録化し、質的帰納的に分析していく準備中であるが、自己主張しすぎず我慢することが美徳であるという教育をうけている日本人という側面に加え、医療者に対する権威や尊敬を過剰にもつ患者という側面、また患者であっても医療者のことを気遣うという側面、欧米諸国に比べ長く入院していることが出来るため、治療・ケアにおいても関係性の良し悪しが影響すること等を含め、日本における患者の状況に合わせてケアができるように、日本人看護師はとい関係性の構築・促進のために工夫していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)海外在住のコーディネータとの調整の問題などにより今年度のデータ収集開始が遅れることとなった。 (2)日本に住んでる外国人看護師の所属施設への許可・依頼の業務等、相手方との調整にかなりの時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、最終年として日本で働く外国人看護師のインタビューを精力的に行う予定にしている。そこで、EPA/FTAによる外国人看護師であり、看護師国家試験の合格者を対象に引き続き依頼を続ける。また、キーとなる外国人看護師をみつけ、協力を依頼することで、効率的なデータ収集を行えるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度をまたいでデータ収集・出張となったため、海外レート計算を含め出張旅費等での正確な予算だてが困難であったこと。また、インタビューデータを逐語録化するための予算として確保しておいたものも、次年度に分析することとなったため余剰が生じた。 インタビューデータの逐語録化に使用する予定である。
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