研究課題/領域番号 |
24593221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
大石 朋子(大塚朋子) 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (40413257)
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研究分担者 |
水戸 優子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (70260776)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔ケア / 口腔リハビリテーション / 廃用症候群 |
研究概要 |
本研究の目的は、口腔機能低下を予防するために口腔リハビリテーションを加味した看護介入プログラムを提案することである。平成24年度は、口腔ケアの援助方法とその効果、不使用性シンドローム(Disuse Syndrome)の文献検討を行った。さらに、臨床場面での口腔ケアの現状を把握するために病院で研修を行い、フィールドワークを実施した。 口腔ケアの援助方法とその効果の文献検討では、国内における口腔ケアの実態とその動向を把握するために、医学中央雑誌Wed版Ver.5を使用し、2002年以降に出版された文献とした。キーワードは「口腔ケア」とし、かつ原著で抄録があるものとし、調査の対象が国外であるもの等を削除した結果、対象文献は295となった。文献の内容は、援助方法そのものやケア物品・ケア補助具の効果に関する内容は少なく、口腔ケアの実態、口腔ケアのニーズ、口腔ケアを行うことによる口腔内環境の改善の症例報告が多かった。また、口腔リハビリテーションの視点を持った口腔ケアの方法の検討はほとんどなかった。 Disuse Syndromeの文献検討では、MEDLINEおよびCINAHLのデータベースを使用し、2012年9月までに出版された文献を対象とした。キーワードは「Disuse Syndrome」で原著を対象とした。日本語もしくは英語で記載され、抄録でDisuse Syndromeに関する内容であるかを選別した結果、分析対象は23となった。Disuse Syndromeは、不必要な安静や疼痛、呼吸状態の悪化によっても引き起こされ、運動療法をはじめとする介入が必要であることが述べられていた。取り上げている具体的な症状は、詳細に述べていないまたは定義していないことが多く、Disuse Syndromeと関連した状況に四肢の運動機能低下、臓器機能低下、免疫機能低下があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献検討により、国内における口腔ケアの援助の動向、Disuse Syndromeの研究動向を分析することができた。その分析から、症例研究であるが、口腔ケアを行うことによって、摂食・嚥下機能が改善させたという報告があった。口腔ケアを口腔内の衛生という視点だけではなく、口腔リハビリテーションも併せて行うことによって、感染予防だけではない看護介入ができる可能性がある。さらに、病院で行った研修によって、口腔リハビリテーションの視点をもつことによって、肺炎予防だけではなく、早期に経口摂取につながるケースを確認することができた。本研究の意義を再確認すると同時に、来年度の調査に向けての準備を整えることができた点で、研究目的は概ね達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、国内における口腔ケアの現状の実態調査を行う予定になっている。平成24年度の文献検討の分析結果とフィールドワークで得られた結果をいかして質問紙を作成し、調査を行う。また、文献の分析結果から、看護介入プログラムを提案していくためには、効果的な口腔ケアの検討をする必要があると考えたため、口腔ケアの効果の指標を検討する。質問紙調査および口腔ケアの効果の指標の検討については、引き続き分担研究者と検討していく。そこに加えて、ケア評価に関する研究を行っている筑波大学の川口孝泰教授にも適宜アドバイスを得ながら進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)国内における口腔ケアの現状の実態調査:これまでの文献を参考にして、口腔ケアの援助方法に関する質問紙を作成する。質問紙は、無記名自記式とする。病院評価機構の認定を受けた200床以上の病院を無作為抽出した100施設に対して研究協力を依頼をし、研究協力の同意が得られた病院に対して、郵送による実態調査を行う。 2)口腔ケアの効果の指標の検討:口腔リハビリテーションを積極的に行っている看護師に対するインタビュー、文献、ケアの評価に関する研究をしている川口孝泰教授にアドバイスを受けながら口腔ケアの効果をデータとして得るための指標を検討する。
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