研究課題/領域番号 |
24593266
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研究機関 | 滋慶医療科学大学院大学 |
研究代表者 |
笠原 聡子 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 講師 (30283782)
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キーワード | 看護管理学 / 看護教育学 / 医療管理学 / 医療の質 / 医療安全 |
研究概要 |
看護師が中断後の多重課題に直面した際の臨床判断に用いる優先順位づけの手がかりとして、どのような基準を使用しているかを明らかにすることを目的としている。 本研究は2部構成となっており、研究①では、看護職員へのインタビュー調査により手がかりの種類を網羅的に抽出し、研究②では、研究①で抽出した手がかりについて、各手がかり間の相対的重要度をグラフ理論(DEMATEL法)を用いて整理することを目的としている。 平成25年度は研究①の調査を実施した。大阪府内の医療施設に勤務する主任クラスの看護師50名に対して、半構造的面接法により、中断時の手がかり等について聞き取りを行った。調査対象者の面接時間は平均34分(SD:8分)、看護師経験年数は平均20年(SD:7年)であった。1勤務帯あたりの主観的中断回数は中央値が10回であったが、範囲が6~20回(25-75パーセンタイル)と対象者によりバラツキが大きかった。中断時の優先順位付けを自信を持ってできるようになった時期については、看護師経験約6年(SD:3.5年)と回答していた。一方、他者である病棟の後輩については4年(SD:1.7年)でできるようになっていると回答しており、自己評価の厳しさが伺えた。中断時の業務の優先順位付けの手がかりの種類については、今後テキスト分析により内容の抽出を行う予定である。 研究②の分析手法としては、平成24年の文献及び解析シミュレーションの検討により、回答者負担の大きさから研究計画時点で予定してたコンジョイント分析からISM法かDEMATEL法に変更することとした。平成25年度はISM法とDEMATEL法による分析結果のシミュレーションを病院情報データを用いて行った結果、ISM法と比較して回答者負担にそれほど差異がなく、なおかつ影響度に関する説明力の大きいDEMATEL法を採用することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)調査対象施設の選定と交渉など調査対象施設との信頼関係作りに時間を要した。 2)研究①について、調査対象病院での調査実施承認時期が遅くなった。 3)調査対象病院におけるインタビュー調査について、インタビュー対象者のスケジューリング調整に時間を要した。 4)インタビュー調査の内容を音声処理したり、逐語録を作成するのに時間を要した。 5)分析手法の再検討を行い、コンジョイント分析からDEMATEL法に変更することとした。 6)教務等所属機関における業務時間及び別テーマの研究に要する時間が当初の予定以上に多かった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度で、研究①におけるインタビュー内容の逐語録作成が完了したので、今後テキスト分析によりカテゴライズし、その結果をもとに研究②で使用する質問調査用項目の作成をすすめる予定である。 本年度(平成26年度)中に研究②として予定している質問紙調査を実施するが、現段階での進捗状況を鑑みて、分析までは時間的制約により困難であることが予測されるため、研究期間を1年延長する可能性がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は533,458円である。研究計画の進捗状況の遅れにともない、研究成果の公表に関する経費としての旅費の支出が少なくなっている。 また、インタビュー音声ファイルの逐語録作成について、当初計画ではアルバイトに謝金を支払う形式で業務を依頼する予定であったが、実際は会議記録等の文字おこし専門業者に業務を依頼したため、計画よりも「人件費・謝金」の支出が減り、「その他」の支出が増えている。 今年度は、研究のための情報収集のみならず研究成果の公表のための旅費を支出する予定である。 研究②のアンケート調査のための郵送料と回収結果のデータ入力のための経費支出を予定している。
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