研究課題/領域番号 |
24593266
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研究機関 | 滋慶医療科学大学院大学 |
研究代表者 |
笠原 聡子 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 講師 (30283782)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看護管理学 / 看護教育学 / 医療管理学 / 医療の質 / 医療安全 |
研究実績の概要 |
看護師が中断後の多重課題に直面した際の臨床判断に用いる優先順位づけの手がかりとして、どのような基準を使用しているかを明らかにすることを目的としている。 本研究は2部構成となっており、研究①では、看護職員へのインタビュー調査により手がかりの種類を網羅的に抽出し、研究②では、研究①で抽出した手がかりについて、各手がかり間の相対的重要度をグラフ理論(DEMATEL法)を用いて整理することを目的としている。 平成25年度は研究①を実施した。大阪府内の医療施設に勤務する主任クラスの看護師50名に対して、半構造的面接法により、中断時の手がかり等について聞き取りを行った。 平成26年度の前半は、インタビュー結果のテキスト分析を行った。その結果、手がかりの種類として、時間的制約など「時間的側面」、患者の重症度や性格・要望などの「患者側面」、他職種との協働業務などの「職場環境側面」、想定リスクや業務量や時間の見積もりなど「予測可能性側面」などの項目が抽出された。調査②の分析方法として当初予定していたコンジョイント分析については、平成24年度の文献および解析シミュレーションの検討により、回答者負担の大きさからDEMATEL法を採用することとした。 平成26年度の後半は、上記の結果をもとに、研究②のアンケート調査項目を作成した。中断時の対応や用いる手がかりに影響すると考えられる、病棟のチームの状況について、チームワーク尺度を用いることとした。また、中断という一種の混乱に対する耐性や立ち直りの強さとして、レジリエンス尺度を追加することとした。アンケート調査は大阪府内の医療施設4箇所において、看護師881名に配布し、817名から回収があったものの(回収率:92.7%)、その後の同意撤回により752名が分析対象となった(有効回収率:85.4%)。現在、分析に向けて、入力後のデータクリーニングとデータ加工等を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)調査対象施設の選定と交渉など調査対象施設との信頼関係作りに時間を要した。2)研究①について、調査対象施設での調査実施承認時期が遅くなった。3)調査対象施設におけるインタビュー調査について、インタビュー対象者のスケジューリング調整に時間を要した。4)インタビュー調査の内容を音声処理し、逐語録を作成するのに時間を要した。5)調査②のアンケート用紙作成時に分析手法の再検討を行い、回答者負担を軽減するためにコンジョイント分析からDEMATEL法に変更することとした。6)調査②のアンケート配布について、調査対象施設における倫理委員会の承認や、配布時期の検討など調整に時間を要した。7)教務、委員会事務等所属機関における業務時間及び別テーマの研究に要する時間が当初の予定以上に多かった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度で、研究②におけるアンケート調査の実施及び回収が済んだので、入力後データのクリーニング及び加工を行い、分析を進める予定である。調査対象全体での分析および調査対象施設ごとの分析を実施し、各施設ごとの報告書を作成するとともに、研究成果の公表を進めるつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の進捗状況の遅れにともない、研究成果の公表に関する経費としての旅費の支出が少なくなっている。また、インタビュー音声ファイルの逐語録作成について、当初計画ではアルバイトに謝金を支払う形式で業務を依頼する予定であったが、実際は会議記録等の文字おこし専門業者に業務を依頼したため、計画よりも「人件費・謝金」の支出が減り、「その他」の支出が増えている。 また、アンケート調査のデータ入力に関してもアルバイト謝金ではなく専門業者に依頼したため同様の状況が生じた。なお、データクリーニングも自分で行っており、その点でもアルバイト謝金としての支出が少なくなった理由である。 また、アンケートの回収について、当初は各個人から郵送してもらう予定であったが、調査施設の協力により一括返信をしてもらったため郵送費も大幅に削減できた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は研究のための情報収集と研究成果の公表のための旅費を支出する予定である。また、研究データの分析のための環境を整えるとともに、報告書の作成や対象施設での報告のための説明会などを行う予定である。
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