研究課題/領域番号 |
24611027
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
尾家 建生 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 客員研究員 (30441124)
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研究分担者 |
村上 喜郁 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (60548353)
玉置 桃子 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70564516)
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キーワード | ガストロノミー / フードツーリズム / 食の都・庄内 / B級ご当地グルメ / エノガストロノミー / 原産地名称制度 / スローフード / 国際研究者交流 イタリア |
研究概要 |
平成25年度は初年度の基礎的研究を受けて主に各分担の現地での調査研究をすすめ、同時に研究課題についてのディスカッションを6回行い、共通のテーマであるガストロノミーの基本概念について共通の認識を深め、さらにフードツーリズム開発における意味と関係を考察した。 尾家は庄内地方における主要飲食店へのアンケート調査を実施し、さらに現地でのオーナーシェフらへのヒヤリングを行ってその分析を行った。その結果、飲食サービス業にとってフードツーリズム開発に必要ないくつかの課題が明らかになるとともに、さらなる地域資源の発掘と活用が必要なことが見出された。理論研究ではガストロノミーの概念とともに場所感の概念がフードツーリズムの主要な要素となることを見出した。 村上は三重県においてB級ご当地グルメの主催者に対しそのブランド戦略を調査し「B級ご当地グルメのブランド戦略」を論文発表した。又、岡山県のB級グルメ団体へのブランド戦略も調査し、ブランド戦略の事例研究に加えた。 玉置はイタリアのトスカーナ州シエナ県を中心にエノガストロノミー・ツーリズムの基盤をなしているワインやオリーブオイル、チーズなどの原産地名称制度の観光振興への実態を現地商工会議所やワイン文化施設、グレーベ市長、レストランにヒヤリング調査した。特にそれらの関係性を明らかにする実証データーの収集に努めた。エノガストロノミー研究においてはイタリアの食文化史におけるガストロノミーの位置づけについて考察し、論文にまとめた。 3名に共通した研究活動として「フードツーリズム・フォーラム」を平成25年9月に大阪で開催し、庄内の奥田シェフらを招き、フードツーリズムについての講演とシンポジウムを行った。最終年度には庄内とトスカーナ地方のフードツーリズムについての比較研究を行い、研究課題に対する結論を導く計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は①ガストロノミーの理論的研究と②フードツーリズムの実態研究、及び③それらの関係性を明らかにしフードツーリズム開発を提示することから構成されているが、 ①はガストロノミーを歴史、食文化、レストランの発展、関連論文からの研究により、②は庄内とイタリア、及びB級ご当地グルメ関連地方への複数回の現地調査により順調に進展している。③の課題に対するデーターや資料も大体めどがついており、研究目的と計画に沿った研究が予定通り達成されている。又、当初予定されていた大阪府立大学観光産業戦略研究所とフードツーリズム研究会との連携も順調に推進されており、大阪商工会議所のフードツーリズムのための研究会における割烹のプロモーションやフードツ-リズム研究会との関西のフードツーリズムマップ作製、フォーラムの開催など本研究課題に寄与する研究事業が行われ、本研究に多大な貢献をしてきた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年度は次の課題を重点的に進めていく。 ①ガストロノミー及びエノガストロノミーについての概念的究明はあらかた終了したが、残された課題であるフードツーリズムにおいてガストロノミー、エノガストロノミーがどういった形で埋め込まれ、アトラクションの要素となりえているのかを明らかにする。 ②庄内地方とトスカーナ地方の比較研究により、庄内に不足しているフードツーリズムの条件や特産物のあり方、レストランの経営課題、観光事業のマネジメントなどについて結論をまとめる。そのための観光客調査を庄内にて実施する。 ③B級ご当地グルメの事例をもう1~2件増やし、ブランド戦略理論の構築を図る。 ④味覚を特徴としたフードツーリズムが観光学において新たな領域を切り開くと仮説してきたが、従来視覚を中心とした観光学が多感覚の導入によって観光動機、観光体験、観光アトラクション、場所感などの主要概念を論文にまとめる。 以上が、本年度の研究課題である。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費で一部未使用のもの、あるいは研究進捗上、行先変更のものがありそれらを本年度に実施するほか、一部調査事業の追加がありそれらへ充当する。。 研究課題の達成の必要上、庄内地方とイタリアのトスカーナ地方とのフードツーリズムの比較を行う必要が生じたため、庄内を担当する研究代表がイタリアへの視察へ出張する。又、B級ご当地グルメで北海道に行く予定だった視察旅費を他方面に変更して使用する。 アンケート調査の追加として、フードツーリズムにおけるインバウンド需要が重要な課題となったため、外国人観光客対象のアンケート調査を行う。
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