研究課題/領域番号 |
24611027
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
尾家 建生 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 客員研究員 (30441124)
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研究分担者 |
村上 喜郁 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (60548353)
玉置 桃子 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70564516)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フードツーリズム / ガストロノミー / エノガストロノミー / 美味場 / 庄内地域 / B級ご当地グルメ / イタリア |
研究実績の概要 |
最終年度は3人の研究者のそれぞれの課題である庄内地域(尾家)、イタリア(玉置)、B級ご当地グルメ(村上)における各関係者へのインタビューやアンケート調査を分析し、ガストロノミーの意味の解明を図った。その結果、現代におけるガストロノミーは3つの基本的な意味から構成されることが見いだされた。つまり、美食のための食材の選択と料理術とを示す「美食術」、美味に関する学際的領域を体系化した知識の総体としての「美味学」、そして地域社会と家庭において美味を探求する原動力を共有する「美味場」である。美味場とは地域社会において開発され継承される美味に対する集団の追求であり、現代の地域社会の生活と文化を豊かにすることができる社会関係資本であると定義された。フードツーリズムの開発において、その地域のガストロノミーを確立し、ガストロノミー体験を創造することが非常に重要なことであることを結論として得た。 本研究の成果発表のひとつとしてファーラムを開催した。そこでは、尾家が地域の原動力となる社会資本としての美味場とそこでの観光との結合を指摘してフードツーリズム開発の特性を主張、玉置はスローフードの理念とガストロノミーを重ね合わせイタリアのガストロノミーの本質が食することへの知恵にあると位置付けた。村上はご当地グルメのマネジメントにおけるガストロノミーの意義と重要性を指摘した。いずれにしても、フードツーリズムの開発においてその地域のガストロノミーを確立することが条件であることが見いだされた。ガストロノミー体験は味覚・嗅覚を中心とする多感覚による観光体験であるとの結論に達した。観光とガストロノミーは料理やシェフ、食材などの要素だけでなく生産地の景観とも強くつながっている。そこにはガストロノミーと観光に深く関係する「場所感」を指摘することができるが、食に関わる観光体験と場所の関係については今後の課題とする。
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