食品栄養学的観点から,トリプトファン代謝産物キヌレン酸産生の制御による高次脳機能低下の予防・軽減を目指した.細胞・組織レベルの研究により,キヌレン酸産生抑制作用をもつアミノ酸10種を見出し,その作用機構を明らかにした.動物実験により,アミノ酸関連化合物の摂取がキヌレン酸産生を抑制し,ドーパミン機能を改善することを明らかにした.行動実験により,キヌレン酸産生増加によって社会行動が低下することを見出し,食餌のアミノ酸組成を変えることによってこの行動異常を抑制できることを明らかにした.以上の結果より,アミノ酸摂取によってトリプトファン代謝を制御し,高次脳機能を調節できる可能性が示された.
|