研究課題/領域番号 |
24616010
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (60224573)
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研究分担者 |
永田 美和子 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (50369344)
伊礼 優 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (90336983)
平上 久美子 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (00550352)
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キーワード | 暴力 / 攻撃的行動 / 被害の連鎖 / 危機予防 / 医療機関 |
研究概要 |
本研究は医療機関における攻撃や暴力の連鎖の実態及び、その連鎖を断ち切る臨床知を明らかにすることにより、組織的視点から攻撃・暴力の発生の予防や危機介入への示唆を得ることを目的とする。平成25年度は、引き続き国内外の文献の検討を重ねながら、前年度の面接調査の分析した。その結果、医療従事者の中でも新人看護者または看護補助者および介護助手が同僚や先輩看護者をモデルとし、患者や入所者を刺激するような言動があること、また看護者-感謝(利用者)相互の間で暴力的言動が見られる事例が確認された。この結果を踏まえて、平成25年度は特に精神科病院の看護助手および高齢者介護施設における介護士をめぐる攻撃性や暴力について、さらに面接調査を実施した。沖縄県内の精神科病院の看護管理者5名および高齢者介護施設の管理者3名である。また、岡山県においても精神科病院を中心に5名の看護管理者5名に面接調査を実施した。以上のデータを分析し医療従事者の中でも他の専門職の指示を受けたりあるいは心理的にも物理的にも近い距離で接触する介護者をめぐる攻撃や暴力の連鎖の実態について検討した。その結果、マンパワーの不足、新入職員への教育研修の不十分さ、病棟(職場)で表明されている理念や方針とスタッフ間で共有されている暗黙のルールとのギャップ、職場における先輩後輩の間の序列およびその関係の中での率直な発言の困難さ、事故・事件があった場合の当該スタッフが孤立してしまう状況、管理者・上司による支援の不十分さ等が影響していることが示唆された。今後、分析をもとに暴力や攻撃の背景にある要因および対処について明らかにし、さらに暴力の連鎖を断ち切るための臨床知について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であった国内外の文献の検討は継続的に行うことができた。また平成24年度の調査をもとに、精神科病院および高齢者介護施設において、特に看護助手および介護者と患者(利用者)との関係における攻撃や暴力の発生した事例について看護管理者から詳細な面接によるデータ収集ができたこと、またその分析を通して病棟(職場)における人間関係やその場で共有されている暗黙のルールが、表にある病棟理念や方針とは別に存在し、影響していることなどを明らかにすることができたことから、概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度から平成25年度の面接調査によるデータ収集により30名の看護管理者から得た患者(利用者)-看護者(介護者・看護補助者)間における攻撃や暴力行為のあったケースの比較検討を行う。この結果と先行研究および文献資料で明らかになった知見を突き合わせて、日本の文化に合った攻撃や暴力被害の連鎖を断ち切るあるいは予防するための組織的取り組みを明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在使用しているpcが平成25年3月に不具合が生じ研究そのものに支障がでたため、購入をその時点で決定し余裕をもって発注をしたが、消費税アップ駆け込み需要の影響のため、納品が4月にまたがることとなったため次年度使用額が発生した。 すでに4月頭に納品がされているため、本来の予定通りに執行できている。
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