本研究では,神経科学的・心理学的知見に基づいて,複数の感覚情報から情動を自己組織的に獲得するメカニズムを提案した.ロボットが人とのインタラクションを通して得られる感覚情報から,共感覚に基づいてモダリティ間の不変特徴を抽出し,確率的ニューラルネットワークを用いて情報を抽象化することで,快や不快,さらには喜び,驚き,怒りなどの基本6情動を生成できることを示した.特に発達学的知見から,触覚が他の感覚に比べて情動の形成に直接寄与するという仮説を立て,計算論的にその妥当性を示した.本結果は,情動発達を促す神経科学的メカニズムの理解と,それに基づく情動抽出アルゴリズムの開発に重要な示唆を与えている.
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