研究課題
白内障の患者に対してその治療目的,内容を説明し同意を得るインフォームド・コンセントが重要であるが,患者が抱く恐怖感・不安感に配慮が十分なされていないのが現状である.そこで本研究は,恐怖感・不安感を軽減しながらも理解度を上げるために必要な要素を明確にすることを目的とし,それらの構成要素を組み込んだインフォームド・コンセント・ツールの開発を行った.その実現のために2つの段階を経た.先ず,第一段階として,白内障の手術の現場において,医者の視点(顕微鏡の映像),観察者の視点(2台のカメラ映像)から動画撮影を行い,説明に必要である「白内障に治療とは」「手術の時間」「手術前の準備」「手術の内容(流れ)」「手術後の注意」の5つによって構成した説明ツールを制作した.このツールをマルチセンサー生体計測装置,非接触アイマークカメラとアンケートによって,どの画面で恐怖感や不安感が表出するのかを探った.その結果,目に直接処置をする行為である「刺す」,「砕く」,「挿入する」の3行為をコントロールすれば,恐怖感や不安感を軽減することができることが分かった.同時にリアル感が高ければ理解度が増加するが,「痛み」だけでなく「気持ち悪さ」も増加することも分かった.そこで,第二段階として,「痛み」と「気持ち悪さ」をコントロールしながらも理解度を保証できる画像処理法を明確にするために,視覚からくる「痛み」「気持ち悪さ」と「リアリティ=理解度」との相関関係について実験ツールを制作して検証を行った.検証に用いたのは,先行研究で使用した「CV(中心静脈カテーテル)」「立方体」に加えて「猫」「手」「注射」の画像を用いた.その結果,「トランスペアレント」をコントロールすることで痛みを軽減できることが分かった.また,人が視覚的に感じる痛みや嫌悪感を軽減できる閾値を求め,パーソナリティに適用できるモデルを構築することができた.
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International Journal of Affective Engineering
巻: Vol.13, No1 ページ: 95-100
10.5057/ijae.13.95