研究課題/領域番号 |
24650146
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
赤平 昌文 筑波大学, 副学長 (70017424)
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研究分担者 |
大谷内 奈穂 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40375374)
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
小池 健一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90260471)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 統計的推測 / 標本空間 / 確率分布 |
研究概要 |
一般に、統計学においては標本空間をユークリッド空間に取ることが多いが、実際の問題においては、標本空間を制約してその部分空間と見なせることもある。そのとき、元の標本空間上の値を取る標本に基づく実験と制約標本空間上の値を取る実験の比較を行う。本研究では、臨床統計において頻出する2標本問題の設定の下でn次元確率ベクトルの関数として非心統計量を考える。この非心統計量によってn次元ユークリッド空間から1次元空間に縮約して、その分布のパーセント点の近似を求める。特に、その確率ベクトルの成分であるn個の確率変数が独立に同一の正規分布に従う場合には、その非心統計量の分布は非心t分布としてよく知られ、そのパーセント点の近似はAkahira(1995, CSSC)によって精確に得られている。本研究では、まず、ピアソンのカイ2乗統計量による適合度検定とステューデントのt統計量による検定について再考した。その上で、正規性の条件を課さない場合を考え、非心t統計量の分布の近似について考察し、植物の種の分布傾向のデータ解析に適用した。その結果、その非心t統計量の分布の近似は実際問題においても十分有用であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度であるが、研究の目的に向かって統計的実験において統計量を用いて元の標本空間を縮約することによって、2標本問題において重要な非心t統計量の分布のパーセント点の精確な近似を実際問題へ適用することによってその有用性が定まりつつある。特に、実際の問題への適用も可能になっているので、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的に沿って、標本空間を制約してその部分空間と見なせることもあり、その制約標本空間上の値を取る実験について考える。特に、適当な統計量等を用いて元の標本空間を縮約して、それらの分布を通した性質を詳細に調べ、従来必ずしも明確でなかったところを明らかにし、今後は、小標本の観点からだけではなく大標本の観点からも研究を推進していく予定である。また、余裕があれば事前分布を想定するベイズ的な見地からも研究を遂行していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に予定していた学会等への出張が副学長の業務多忙により遂行できなかったので、次年度に日本数学会秋季総合分科会等に出席するために旅費を使用する予定であり、また、研究を強力に推進するために、統計的実験に関する情報収集や研究打合せの機会をもっと多く持つために旅費を使用する予定である。さらに、パソコン等の研究環境整備等についても研究費を使用する予定である。
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