研究課題/領域番号 |
24650146
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
赤平 昌文 筑波大学, 名誉教授 (70017424)
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研究分担者 |
大谷内 奈穂 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40375374)
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
小池 健一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90260471)
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キーワード | 標本空間 / 統計量 / 推定 / 検定 |
研究概要 |
一般に、統計学においては標本空間をユークリッド空間に取ることが多いが、実際の問題においては、標本空間を制約してその部分空間と見なせることもある。また、適切な統計量によって標本空間を縮約して考えることもできる。このような観点から本研究において、母数に正値あるいは非負値であるという制約がある場合に区間推定について再考を行った。ここで区間推定方式は統計的実験における1つの有用な方式と見なされる。そこで、母集団分布が正値の平均μと既知の分散をもつ正規分布と仮定するとき、有限次元の標本空間はμの十分統計量である標本平均を用いて標準正規分布に従う枢軸量に基づく信頼区間が負にならないようにする方法が考えられる。一方、μの最尤推定量は標本平均と0の内で大きい方になり、これを用い尤度比検定の受容域から信頼区間を構成することもできる。また、ベイズ的観点からμに事前分布を仮定して、標本平均値を与えたときのμの事後密度からベイズ信頼区間もつくることができる。さらにベイズ法と頻度法を混合させて、対立仮説としてμがある分布に従うことにして仮説検定を考え、受容域から信頼区間を構成したベイズ・頻度混合法も考えられ、これは本研究代表者らが提案したものである。これらの方法の中では、ベイズ・頻度混合法は比較的良いが、μの事前分布を如何に選ぶかが重要になるので、それについて検討を加えた。さらに、一般に適当な正則条件の下で、最尤推定値を与えたときの漸近事後分布と事前分布の差異を一般化情報量で測ることを試みた。現段階では事前分布として一様分布を取る方が良さそうではあるが、さらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的を踏まえ、統計的実験において十分統計量を用いて元の標本空間を縮約することによって、母数に正値あるいは非負値であるという制約がある場合に区間推定について再考を行った。このような問題では事前分布の選択が重要になり、一般に事前分布と事後分布の差異を一般化情報量で測るところまで進め更なる検討は必要ではあるが、様々な問題に波及する可能性も分かってきているので、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的に沿って、標本空間を制約してその部分空間と見なせることもあり、その制約標本空間上の値を取る統計実験について考える。特に、適当な統計量等を用いて元の標本空間を縮約して推定、検定において必ずしも明確でなかったところを明らかにし、今後は、頻度主義的見地からのみならずベイズ的見地からもさらに研究を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた研究集会等への出張が所用のため遂行できなかったため。 研究計画を遂行するために必要な統計的実験に関する情報収集や研究打合せ等に旅費を使用するする予定であり、研究環境整備のためにも研究費を使用する予定である。
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